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【「本が好き!」レビュー】『万物の尺度を求めて―メートル法を定めた子午線大計測』ケン オールダー著

2017年10月3日 16時00分 (2017年10月12日 17時42分 更新)

水1立方センチが1グラム、凍るのが0℃で沸騰するのが100℃。なんて美しい偶然だろう。と思っていた少年時代。「偶然ではなく、そうなるように人間が決めたんだよ」と、先生に教わった時の衝撃を思い出す。

大人になった今、1グラムと0-100℃は、どちらかが先に決まったに違いないと、ふと思いついた。尺度の起源を探ろうとして出会ったのがこの本だ。

本書は地球の大きさからメートルを定義する話。
長さの定義を決め、多大な測量を重ねて定義を満たすメートル原器を作り、保守的な考えと戦いながらもメートルを普及させたフランスを尊敬する。

メートルが現れる前の尺度といえば、宗教的な理解や、王様の気まぐれで決められたものばかりで、国によってバラバラだったり、支配者の交代で変えられたりしていた。これでは広域の交易ができない。同じ尺度が使える地域、つまり支配者の目の届く範囲で細々と取引するしかなかったのだ。

フランス革命を起こした市民層は考えた。宗教や王侯の支配を受けない不変の基準、自然のルールに従う科学的な思考法こそが民衆にとって最も強い力になるはずだと。かくして、丸い地球の大きさを正確に測量する大事業が始まった。

本編は測量作業の苦労話が大半を占める。革命後のフランスは他国との戦争に突入することになったが、測量チームは敵国に入っての測量を続ける。なんともすごい話だ。当時の社会が科学を必要としたことや、科学が社会に与えた意味を存分に知ることができた。

(レビュー:Toshiyuki Oda

・書評提供:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」

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