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密通を許せなかった夫が、妻に与えた凄惨な罰

2017年10月13日 18時00分 (2017年10月14日 11時48分 更新)
イラスト/フォトライブラリー『江戸の性事情』(ベスト新書)が好評を博す、永井義男氏による寄稿。

 俗に「間男代は七両二分」と言われたように、夫ある女と密通したのが発覚しても、男が夫に対して慰謝料七両二分を支払いさえすれば、それで内済(示談)が成立した。 庶民には七両二分は大金だから、実際にはもっと安い金で内済になった。
 この結果、いくら密通をしても金さえ払えば後腐れはないという風潮を生んだ。
 そんな風潮のなか、金を払って内済が成立しながら、その後に惨劇が起きた密通事件が『藤岡屋日記』に記されている。

 角筈村で寺子屋を主宰する樋口鎌右衛門、三十二歳は酒癖が悪く、酔うと粗暴な行動をすることもあった。
 女房のお喜和は二十七歳だったが、近所に住む吉五郎という二十五歳の男と密通した。このことは近所でも噂になり、なんとなく樋口の耳にも届いたが、ふたりが密通しているという証拠はない。

 弘化四年(1847)三月中旬、樋口が外出先から家に戻ると、留守中にあがりこんだ吉五郎と女房のお喜和がなにやら楽しそうに話をしている。それを見た樋口はカッとなった。
「やはり密通の噂は本当だったか。ふたりとも許さぬ。そこへ直れ」
 刀を抜こうとする。その怒鳴り声を聞いて近所の人々が駆けつけ、みなで樋口をなだめた。
 けっきょく、吉五郎が樋口にいくばくかの金を払い、内済が成立した。これで一件落着のはずだった。

 三月二十一日の夕方、樋口が息子や娘などに命じた。

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