執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」
このような経験、どなたも一度はあるでしょう。
そもそも寝違えはどうして起こるのでしょうか。

実は、寝違えの原因にはあなたの生活習慣が関係しているかもしれません。
今回は、寝違えの原因や治し方などについて、ご説明していきましょう。
寝違えの症状と正式名称
寝違えとは、睡眠中の無理な姿勢や首の動かし方によって首の筋肉に負担がかかり、翌朝、首や肩、背中などに不快感や筋肉痛に似た痛みが現れるものを指します。
一時的に首を動かせなくなってしまうようなこともあります。
「寝違え」は正式な病名ではありません。
医学的には、「急性疼痛性頸部拘縮(きゅうせいとうつうせいけいぶこうしゅく)」といいます。

拘縮とは、筋肉が持続的に収縮してしまう状態です。
寝違えると、首まわりの靭帯や筋肉に損傷や炎症が起こり、痛みが出ます。
骨の問題ではないため、病院でレントゲン検査をしても異常は見つかりません。
症状の度合いは、数時間から1日程度で治る軽いものから、1週間程度続くものまでさまざまです。
それでは、どうして寝違えが起こるのでしょうか。
寝違えが起こる原因
通常、眠っている間は、無理な態勢にならないように、寝返りをうったり、身体を動かしたりしています。

ところが、泥酔状態や、狭い場所や合わない寝具などによって無理な姿勢で眠ると、十分に身体を動かせず首に負担がかかり、寝違えてしまうのです。
また、疲れやストレスから、睡眠中に身体がリラックスせず緊張状態であることも、寝違えの一因といわれています。
すなわち、頻繁に寝違えてしまう人は、先に述べた原因に当てはまることが多いのかもしれません。
ですから、寝違えてしまったときは、泥酔状態ではないか、枕は合っているか、疲れやストレスは溜まっていないか…など日常生活を振り返ってみると良いでしょう。
寝違えたときの注意点と治す方法
寝違えると、ついついやりがちなのが首のマッサージ。
しかし、前述のとおり、寝違えは炎症の一種であり、血流量の増加が起こっている状態、このときに自己判断で首のマッサージをすると、さらに血流量を増やして炎症や痛みを悪化させることになります。

寝違えたときのマッサージは逆効果!
氷などで冷やすようにしましょう。
そして、ある程度冷やして痛みの感覚がなくなってきたら冷やすのをやめる。
これをくり返してみてください。
冷湿布などを貼るのもよいですね。
もちろん、安静第一ですよ。
それでも長引くときには要注意!
寝違えは、安静にしていれば自然に治ることも珍しくありません。

しかし、安静にしているのに1週間以上痛みがとれない、あるいは悪化している、という場合は、単なる寝違えではない可能性もありますので注意が必要です。
たとえば、頚椎椎間板ヘルニアや五十肩、首の骨の異常、また、腫瘍や感染症などが原因で首に痛みが出ていることも考えられます。
首や肩、背中の不快感や痛みが長引いて激しい痛みが消えない、あるいは発熱や手足のしびれ・痛みなどの症状が伴う場合には、病院を受診するようにしてください。
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供