混迷極める日本社会の象徴?「35歳本」が続々登場する理由

2009年12月22日 09時15分

 2009年5月6日、NHKで『NHKスペシャル “35歳を救え”』という刺激的なタイトルの特別番組がオンエアされた。

 これは、将来20年にわたって日本社会の中核を担うであろう35歳の人々1万人にアンケートをとり、「20年後の日本」を経済指標や雇用、所得などの側面からシミュレーションしたものだ。

 35歳といえば、いわゆる“団塊ジュニア”の中心である。就職氷河期を経験し、リーマンショックの洗礼を受けた彼らは、多くが定職に就けず、安定収入も得られず、家庭や子供を持つこともできないでいるという。

 番組ではこれを「35歳問題」と位置づけ、彼ら中間層の崩壊が急加速している実態を明らかにした。

 そして、この番組の内容に大幅追加し、単行本化したのが『“35歳”を救え ~なぜ10年前の35歳より年収が200万円も低いのか~』(NHK「あすの日本プロジェクト」×三菱総合研究所著、阪急コミュニケーションズ刊)である。

 転職率と未婚化が高まり、パラサイトが増え、普通の暮らしが崩壊し始めている現状を徹底取材しているが、一方で雇用政策や生活支援策を掲げ、これからの日本のあり方について考えている。

 このように、将来の日本経済や生活を考える上で、「35歳」というのがひとつのキーワードになっているようだが、出版界でも続々とこの「35歳本」が登場し、ビジネス書市場を賑わせているのだ。

 最もヒットしているのが、杉並区立和田中学校の藤原和博前校長による『35歳の教科書 ~今から始める戦略的人生計画~』(幻冬舎刊)だ。

 氏曰く、「35歳からはただ頑張っても報われない」。その具体的な施策を「戦略的人生計画」「クリティカル・シンキング」「正解主義から修正主義へ」というキーワードで読み解く。その背景にあるのは、「成長社会から成熟社会」への移行であり、本書は「大人のための人生マニュアル」と言えそうだ。

 さらに注目を集めているのが、『35歳からのリアル』(人生戦略会議著、WAVE出版刊)だ。この大失業時代に、選択の年齢である35歳に必要なのは「個人戦略」であると説き、読者に希望と安心を与える書となっている。

 また、35歳は人生の分岐点であり、ビジネスで成功するには「知識・技能・人格」が重要であると語る『35歳までにやるべきこと ~運をつかむ人になれ~』(重茂達著、かんき出版刊)も人気を集めている。

 これらの35歳本、40歳を過ぎてからではすでに遅く、経験や実績、さらには気力・体力がまだ充実しており、まさしく人生のターニングポイントにある35歳という年齢の重要性を示唆している。

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