中国ネット通販市場の一角に打撃 個人輸入課税強化の広がる波紋

2010年9月9日 09時15分
 9月1日付で発効した中国税関通達「2010年第43号」が、大きな波紋を広げている。

 第43号通達とは、中国国外から個人あてに郵送される物品に対する課税を強化する内容で、これまでは免税上限額が400~500元(約 5000~6000円)だったが、一気に50元(約600円)に引き下げられた。

 中国税務当局によるこの措置でいちばん影響を受けているのが、個人の免税枠を利用して海外から物品を輸入し、中国国内でネットを通じて販売している個人や代理購入業者だ。こうした業者は、海外に住む友人などに商品購入を依頼して、EMSなどの国際郵便で個人あてに送ってもらい、「免税」で安く輸入したのちにネットで転売するのである。海外代理購入によるネット通販市場は、80億元(約1000億円)とも言われている。

 今回、中国の税関が個人の郵送物品の課税強化に乗り出した背景には、代理購入業者による違法すれすれの「グレー」な個人輸入に歯止めをかける狙いがある。課税強化に伴って、一時的に販売を停止したり、転売価格を引き上げる業者も出始めた。

 この結果、化粧品や粉ミルクなど、もともと免税で輸入できていた比較的単価の安い商品に影響が及んでいる。たとえば粉ミルクは、通達が出される前は1キログラム=20元なら25キログラムまでは免税で個人輸入できた。1缶900グラム換算で27缶だ。ところが9月1日以降は、たった2缶しか免税で輸入できなくなった。

 グレーな業者ばかりでなく、中国向けに海外製品のネット通販を正規に行っている企業でも、別のかたちで影響が出ている。

「今のところ様子見の状態。ただ、個人の関税負担が重くなれば、(関税は輸入者である顧客の負担なので)加盟店に対する“値下げ圧力”が強くなる可能性はある」

 中国向けに日本製品をネット通販している「Buy-J.com(伯宜杰)」を運営するSBIベリトランス事業開発部の矢井知章シニアマネージャーは、懸念を口にする。今後は物流費を抑えるため、商品を個別に発送するのではなくまとめて倉庫に送った後に振り分けるなど、EMS以外の配送方法も検討中だ。

 中国最大のEコマース企業アリババグループが、ヤフージャパンと提携して運営する中国向け日本製品通販サイト「タオジャパン(淘日本)」では、税関検査に時間がかかるようになり、商品到着の遅延が発生している。ただ、一時的な混乱はあるものの、「事業の方向性は大きく変わらない」(アリババ)としている。

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