<G20>貿易、首脳会議の火種に…協調揺らぐ

2017年3月20日 00時28分 (2017年3月20日 09時13分 更新)
 【バーデンバーデン(独南西部)三沢耕平中西啓介】米トランプ政権発足後、初めての主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は18日午後(日本時間同深夜)、最大の焦点だった貿易分野の意見集約を断念。7月に独ハンブルクで開くG20首脳会議に結論を持ち越し、火種を残す形で閉幕した。声明からは「保護主義に対抗する」との文言が欠落し、これまで築き上げた国際協調路線が揺らいでいる。

 「多くの進歩がこの分野(貿易)で達成できなかった。我慢のしどころだ」。議長国ドイツのショイブレ財務相は記者会見で肩を落とした。「言葉探しがとても大変だった」とも述べ、声明文を巡り激しい攻防があったことを示唆した。

 会議出席者によると、米国は声明で保護主義を否定する表現を避けるよう要求。一方、中国や日本に米国の貿易赤字削減を迫るトランプ氏が好む「公正な貿易」を盛り込むよう主張した。ドイツは早い段階から米国の意向を踏まえた草案を作成したが英仏中などが反発。各国の思惑が複雑に絡み合う中、ドイツは水面下で声明とは別の付属文書の作成も提案。それでも合意に至らず「保護主義に対抗」を削除する代わりに米国が求める「公正」も使わないことで決着した。

 独同行筋は声明最終案を書き上げた直後、毎日新聞の取材に「『保護主義』も『自由貿易』も『公正な貿易』も入らない」と苦悶(くもん)の表情を見せ、「日本は我々(議長国ドイツ)の案を支持している」と語った。

 声明は貿易について「経済に対する貿易の貢献の強化に取り組んでいる」と記すのみ。麻生太郎財務相は記者会見で「自由貿易を否定する発言はなかった」と説明したが、昨年の声明にあった「保護主義に対抗」との表現は消えた。ムニューシン米財務長官は記者会見で「過去の声明の文言は適切なものではない」と述べ、「反保護主義」の文言削除を促したことを認めた。

 重要議題の一つ、地球温暖化対策も「パリ協定」に関する記述がそっくり抜け落ちた。協定脱退を検討するトランプ政権への配慮とみられ、フランスのサパン財務相は「満足できる形にならなかったことは残念」との声明を発表した。

 「勝負は7月の首脳宣言だ」。全日程終了後、声明作りに加わった日本の関係者は意欲を見せた。トランプ大統領を迎え入れる7月の首脳会議で今回示せなかった結束力を示せるか。G20の真価が問われる。

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