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驚異的パフォーマンスのインバース型VIX指数ETFとは何か

2017年6月20日 06時30分 (2017年6月22日 17時18分 更新)

■ウォール街で注目のVIX指数ETF、利用方法と注意点は?




6月に入っても最高値の更新が相次ぎ、活況が続く米株式市場。そんなウォール街で注目が高まっているのがボラティリティ・トレードです。



ですが、投資を始めたばかりの方には、そもそも「ボラティリティって何?」という感じではないでしょうか。そこで今回は、今人気のボラティリティ・トレードについて、その仕組みや活用方法、注意点などを整理してみました。



■ボラティリティが記録的な低水準に



ボラティリティとは値動きの大きさのことで、値動きが激しいことをボラティリティが大きい(高い)、値動きが鈍いことをボラティリティが小さい(低い)と言います。



ボラティリティの指標となるのが、S&P500の値動きを対象としたVIX指数(Volatility Index)です。VIX指数は投資家の不安心理を反映しているとも考えられており、別名「恐怖指数」と呼ばれています。



同指数はおおむね10から20の間を推移し、2004年以降の単純平均は18.85となっています。それが、5月下旬から6月上旬にかけてしばしば10を割り込み、1993年以来の低水準となったことで市場の関心を集めました。



6月16日現在も10.38と依然として非常に低いレベルにとどまっています。



■低成長・低インフレで株価も安定?



では、なぜVIX指数は低下しているのでしょうか? 一概には言えないのですが、低成長、低インフレ、低金利が関係しているのではないかと考えられています。



GDP成長率は、ITバブル崩壊前の2000年までの5年平均が+4.3%でしたが、金融危機前の2007年までの5年平均は+2.9%へ低下しました。さらに、2016年までの5年平均は+2.1%となっています。



また、消費者物価指数(CPI)の伸び率は2007年までの5年平均が+3.0%だったのに対し、2016年までの3年平均はわずか+1.0%となっています。



1990年代後半には6.1%だった米10年物国債利回りは、2007年までの5年平均で4.4%へと低下、2016年までの5年平均は2.1%となっています。



このように、GDP成長率やインフレ率、金利といった金融・経済の重要指標が低位で安定する方向にあり、経済指標の変動が緩やかになっています。その影響で景気に対するサプライズが小さくなり、株価の見通しに安心感を与えている模様です。



■ETFは“先物”を利用、長期投資には不向き



米国では、既に数多くのVIX先物指数を利用したETF(上場投資信託)やETN(上場投資証券)が取引されています。代表的なものとしては「iPath S&P500 VIX Short-Term Futures ETN(以下、VXX)」があり、取引開始は2009年1月です。



注意したいのは、これらの商品がVIX“先物”指数に連動している点です。短期的にはVIX指数とVIX先物指数は似たような値動きとなりますが、長期的には大きく異なります。



先物指数は限月を乗り換える必要があり、そのコストが収益に影響します。通常、VIX指数の先物は期近から期先にかけては価格が高くなる傾向にあり、この状況を順ザヤと言います。先物を買って満期が近づくと手じまい、また先物を買うことを繰り返しますので、順ザヤでは“高く買って安く売る”状態が続き、コストが膨らみます。



具体的に見ると、VIX指数の6月の騰落率は-0.3%(16日現在、以下同)、年初来では-26.1%、過去1年では-46.4%ですが、VXXはそれぞれ-3.6%、-49.1%、-79.2%となっており、期間が長いほど差異が大きいことが分かります。



国内ではS&P500のVIX先物指数に連動するタイプ(ただし、為替の影響も受けます)の「国際のETF VIX短期先物指数(1552)」のほか、日経平均のボラティリティ・インデックス(VI)先物指数に連動するタイプの「NEXT NOTES 日経平均VI先物指数ETN(2035)」がありますが、パフォーマンスはVXX同様かんばしくありません。



■ウォール街の注目はインバース型



ウォール街のファンドマネージャーが目を付けているのは、VIX指数が長期的に低下している点です。そこで、VIX先物指数が下がると利益が出るインバース型のETFが人気となっており、代表的なものとしては「VelocityShares Daily Inverse VIX Short Term ETN(以下、XIV)」があります。



XIVの年初来の騰落率は+76.3%、過去1年では+209.1%、過去5年では+756.0%と、期待を裏切らず驚異的なパフォーマンスをあげています。



国内では、「NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN」が同じタイプで、2015年3月から取引が開始されています。年初来の騰落率は+61.2%、過去1年では+237.5%とこちらも高いパフォーマンスを達成しています。



■リスクヘッジは短期限定、長期保有ならインバース型を検討



VIX指数は相場が急落するときに急騰する傾向にありますので、リスクヘッジには最適と考えられています。



実際、EU離脱を決めた英国民投票や米大統領選挙などに前後して急騰しています。したがって、イベントを控えてのリスクヘッジとして一時的に保有し、イベントを無事通過したら手じまうなど、短期限定で利用するとよいかもしれません。



ただし、VIX先物指数を利用したETFは時間の経過とともに減価する恐れがありますので、長期保有には不向きと考えられます。また、長期的なトレンドとしてVIX指数が低下していることもあり、長期保有にはインバース型が“最新トレンド”になっています。



世界な低成長・低インフレの傾向が今後も続くと考えるのであれば、短期的にVIX指数が急騰したとき、すなわちインバース型のボラティリティETFが“押し目”を付けたときなどには購入を検討してみる価値がありそうです。



注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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