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市場関係者が警戒、日経平均はつるべ落としの可能性

2017年6月20日 07時00分 (2017年6月20日 15時52分 更新)

日経平均は2万円台を回復した後、1万9千円台で小刻みな動きに終始する場面が増えている (c)朝日新聞社

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 6月2日に終値で2万円を突破した日経平均株価。実に2015年12月以来、1年半ぶりの明るい話題に市場は歓喜したが、勢いはなかなか続かない。

 大手証券会社の幹部が言う。

「日本の実体経済は政府が強調するほどいいとは見ていない。企業業績が予想ほど上がらず、期待が失望に変われば外国人投資家に支配された日本株はつるべ落としとなりかねない」

 フランスの大統領選でマクロン氏が勝利し、市場が懸念していた政治リスクが払拭されたのを契機にリスク・オンへと転じた世界の株式市場。

●最大のリスクは…

 日経平均2万円回復は、日本株の売買の7割のシェアを持つ海外投資家が原動力となった。予想PER(株価収益率)が約14倍と低水準にある日本株の割安感も海外投資家を惹きつけた。PERとは、株価が1株当たりの純利益の何倍かを示すもの。数値が低いほど割安といえる。

 さらに、「下げに転じても日銀のETF(上場投資信託)の買いが入るという安心感も寄与している」(市場関係者)という。日銀をはじめとする世界の中央銀行が供給する過剰なマネーが株価上昇を支えている構図だ。

 だが、いつまたリスク・オフへと転じるかわからない危うさを秘めているという。

「最大のリスクは、支持率が急低下しているトランプ米大統領だ。減税など経済界が期待する政策が停滞しトランポノミクスが失望に変われば頼みの米国株が変調しかねない。さらに、チャイナリスクも底流にある。人民元安に伴う資本流出に悩む中国だが、潜在的な不良債権の急増が懸念されている」(同)

 金融庁も金融機関の中国・新興国向け与信について注視している。「中国・新興国に拠点を有するメインの大口与信先に関する調査を2月に実施し、結果の分析を行っている」(金融庁関係者)という。

●貯まる巨額なマネー

 金融庁の問題意識は、金融機関の取引先の中に、国内市場の縮小を受け、海外に活路を見いだそうと中国・新興国に進出する企業が増加している点にある。その一方で、メイン取引先の急速な海外進出に十分に対応できずに、与信管理が後手に回っている金融機関もあるのではないかと見られている。その実態把握に乗り出したわけだ。

 こうした中、FRB(米連邦準備制度理事会)は6月14日、0.25%の利上げを決めた。また、FRBのイエレン議長は、量的緩和で膨らんだ保有資産の縮小に着手する意向で、早ければ9月にもバランスシートの正常化に踏み切るとみられている。

 しかし、利上げに対する市場の反応は冷淡だった。政策金利を引き上げたにもかかわらず米国の長期金利は一時2.10%と7カ月ぶりの水準にまで低下し、東京市場では円高・株安が進んだ。14日の円相場は一時1ドル=108円台まで上昇し、翌15日の日経平均株価は4日続落。市場はFRBの強気の米景気拡大シナリオに懐疑的で、さらなる利上げは来年に先送りされるのではないかとの見方が支配的だ。利上げペースが鈍化することになれば、円高圧力はさらに高まる可能性があり、日本株にも下げ圧力が加わる可能性が高い。

 実はFRBが利上げしても長期金利が低下する現象は、2004~06年にかけても生じた。当時のFRB議長であったグリーンスパン氏は、この不可解な現象を「コナンドラム(謎)」と呼んで警鐘を鳴らしたが、その後、低金利は住宅バブルを招き、金融危機の火種となった。

 一方、日本経済も財政出動と日銀の異次元緩和政策というアベノミクスが推進されても、貯蓄から投資へとマネーは動かず、銀行や信用金庫などの金融機関に集まる預金は17年3月末時点で過去最高の1053兆円と、1千兆円の大台を突破した。

 また財務省の17年1~3月期法人企業統計によると、全産業ベース(銀行、保険業を除く)の利益剰余金は、390兆3900億円と過去最高を記録。金融機関の預金と企業の内部留保に貯まる巨額なマネーは、設備投資や消費に回らず、実感なき景気回復が続いている。外国人投資家の失望売りを招けば、株価は元の木阿弥となりかねない。

(金融ジャーナリスト・森岡英樹

※AERA 2017年6月26日号
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