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自己破産者急増! 銀行のカードローンはどこに問題があるのか

2017年7月15日 06時50分 (2017年7月17日 20時18分 更新)

■銀行にとってカードローンはリスクが少なくリターンが大きい




自己破産をする人が増えています。最高裁判所の発表によると、2016年の個人の自己破産の申請件数は6万4637件で、前年比1.2%増となっており、13年ぶりに増加しました。個人の破産申請は、1990年代後半に急増し、03年に24万2357件とピークに達した後、翌年から12年連続で減少していました。



それにはどのような理由があるのでしょうか。日本弁護士連合会(日弁連)は、銀行のカードローンの過度な貸し付けが問題だと指摘しています。銀行などによる消費者向け貸付けが急激に増えており、カードローンなどの残高は、2013年3月時点では3兆5442億円だったものが、2016年3月には5兆1227億円と、短期間で急増しています。



■銀行や信用金庫、信用組合などは総量規制の対象外



銀行がカードローンなどの個人ローンの拡大に力を入れています。背景には、マイナス金利政策の影響で企業向け融資の利ざやが縮小していることが挙げられます。特に地方銀行にとっては厳しい経営環境が続いています。



一方でカードローンであれば、このような低金利下でも10%超の金利収入が見込めます。実際に多くの銀行では、カードローンが業績に大きく貢献するようになっています。



「サラ金」などと呼ばれた消費者ローンについては、借金を返すために借金を重ねる多重債務が社会問題となりました。金融庁は2010年6月、貸金業法を改正し、上限金利の引き下げや貸付総額を年収の3分の1までにする総量規制を導入しました。



実は、銀行や信用金庫、信用組合などは、貸金業法の対象ではありません。このため、総量規制も受けません。収入証明書の提出なども不要です。批判を受けていることから、最近は少なくなりましたが、以前は「収入証明書不要!」などと大きく書かれた銀行のカードローンの広告を電車の中などでよく見かけました。



広告の表現がおとなしくなっても、銀行のカードローンでは、実際には依然として返済能力を上回る融資が行われているという声が少なくありません。



■銀行にとってカードローンはリスクが少なくリターンが大きい事業



銀行のカードローンの問題が指摘されるようになって何年にもなります。といっても、「わが行は、カードローンから撤退します」というような銀行はありません。なぜなら、銀行にとって、カードローンはリスクが少なくリターンが大きい”おいしい”ビジネスだからです。



大きな理由はまず、前述したように超低金利下でも10%超の金利収入が見込めること。さらに銀行ならではの顧客との接点を生かして新規開拓ができるのも大きな特長です。



消費者金融業者の場合、いくら無人契約機であっても、運転免許証などの本人確認書類や源泉徴収票などの収入証明書類を用意して申し込みに行くのは大きなハードルです。ところが、銀行のカードローンであれば、「キャッシュカードにカードローン機能を付加しませんか」というだけでいいのです。



住所もわかっているので、ダイレクトメールを送ることもできます。銀行によってはATMを利用するだけで「このままカードローンの申し込みができます」と表示されるところもあります。きわめて簡単に利用できるのです。



そのようにむやみに貸し出して、貸し倒れなどのリスクはないのかと思うかもしれません。多くの銀行は審査や回収に保証会社を利用しています。万一、貸し倒れとなっても、それを負うのは保証会社です。銀行のリスクは小さいのです。



■自主規制の足並みがそろうのはこれから



こうしたなか、銀行による過剰融資が多重債務問題につながりかねないと懸念する声が増えています。これを受けて全国銀行協会では、ローン審査の厳格化などに向けた対応を行うと発表しました。



各銀行に利用者の年収を把握したり、貸金業者からの借り入れ状況を確認したりするように要請し、過剰融資を抑え、多重債務者を増やさないようにするとしています。



ただし、具体的な取り組みは各銀行にゆだねられています。銀行によっては、借入額が一定の額を超える場合、年収確認書類の提出を求めるところも出てきました。とはいえ、足並みはそろっておらず、「年収の3分の1」などの融資枠の厳格化について「見直す予定がない」と語る銀行もあります。



審査が緩いところが利益を伸ばすような抜け駆けが増えると、貸金業法の改正のように法律で規制されることになりかねません。各銀行では他行を眺めながら、自主規制のあり方を模索しているようです。



注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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