<米301条調査>中国との駆け引き激化 対北朝鮮巡り

2017年8月13日 23時06分 (2017年8月14日 01時00分 更新)
 【ワシントン清水憲司、北京・赤間清広】トランプ米大統領は14日、中国に対する制裁発動を視野に、米通商法301条に基づく調査開始を指示する。米企業が保有する知的財産権の侵害や中国進出時の技術移転の強制について調べる。北朝鮮の核・ミサイル開発への対応を巡り、問題解決に中国を巻き込む狙いもあるとみられる。

 これに対し、今秋に5年に1度の共産党大会を控え、内政・外交の「安定」を最重視する中国の習近平指導部はあくまで対話での問題解決を求める姿勢を崩しておらず、米国との決定的な対立は回避したい考えだ。ただ、通商問題は早期解決が困難な難問が多い。北朝鮮を巡る駆け引きが続く中、米中が互いに制裁措置を取る「貿易戦争」の懸念が高まりつつある。

 米政府高官が12日、明らかにした。トランプ氏の指示を受け、米通商代表部(USTR)はまず予備的調査を行い、本格調査に入るかを判断。調査の結果、中国に「不公正行為」があると判断し、是正に向けた米中協議も不調に終われば、中国製品に高関税を課すなどの制裁発動を検討する。

 トランプ氏は11日夜、中国の習近平国家主席と電話協議し、調査開始の方針を直接通告した。この協議に先立ち、記者団に「14日にかなり大きな記者会見を開く」と述べ、意気込みの強さを示していた。

 その背景には対北朝鮮戦略を巡る思惑がある。トランプ氏は当初、中国による圧力強化に期待し、通商問題を一時的に棚上げする姿勢も見せていたが、最近は成果が上がらないことにいら立ちを募らせていた。北朝鮮との緊張が高まる中、1980年代の日米貿易摩擦時に日本から譲歩を引き出すために多用された301条を持ち出した格好だ。調査手続きを進めつつ、制裁を発動しない可能性も残すことで、中国に行動を促す狙いがあるとみられる。

 しかし、トランプ政権が301条に基づき一方的な制裁に乗り出せば、米中間の緊張が一気に高まるのは必至。世界貿易機関(WTO)が一方的措置を認めておらず、中国が対抗措置に乗り出す公算が大きいためだ。外交・経済の両面で拡大する米中間の火種は、日本を含む世界経済に悪影響を及ぼしかねない。

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