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約100億円の投資を予定! GMOインターネットのビットコインマイニングの戦略とは?

2017年9月14日 18時33分 (2017年9月15日 07時40分 更新)
●マイニング事業参入のねらいとは?
GMOインターネットが9月7日、最先端の7nm半導体チップを活用し、北欧に「次世代マイニングセンター」を設置。ビットコインのマイニング事業に着手することを明らかにした。仮想通貨市場に衝撃を与えたこの発表への質疑に応えるため、同社は9月13日に説明会を開催。代表取締役会長兼社長・グループ代表の熊谷正寿氏らが登壇した。

○ビットコインの運用で国境のない新たな経済圏の発展を担う

説明会に登壇した熊谷氏は、ビットコインマイニング事業への取り組みについて「仮想通貨は、新しい経済のインフラといえます。仮想通貨によって世界共通の経済圏が発展していく中で、それを推し進める事業の1つであるマイニングに、日本の企業として参画する意義は非常に大きいと考えております」とコメント。インターネットが「情報」の境界線をなくしたように、仮想通貨は「お金」の境界線をなくすだろうと語った。

マイニング事業の最大の課題として同氏が挙げるのは、消費電力だ。ビットコインマイニングは膨大な量の計算処理が必要となり、採掘者同士の競争で優位に立つには大量の電力が必須。この課題を解決する最良の方法として同社が行ったアプローチは、低電力で動くマイニング用の最先端半導体チップを開発すること、そして再生可能エネルギーを利用できる地域である北欧でマイニングを展開することの2つだった。

●マイニングチップ・マイニングセンターの仕様は?
○国内メーカーが設計した7nm製造プロセスのマイニングチップ

次世代マイニングチップは、最新の7nm製造プロセスによって製造されるという。開発メーカーやファウンダリは非公開だが、国内の半導体メーカーと共同研究開発されており、国内製造と公表された。競合製品に比べ56%以上の消費電力効率を予定しており、1チップあたり10TH/秒の処理能力を備えていると説明する。商用の7nm製造プロセスチップとして世界で初めて運用できる製品となる可能性があり、今後のロードマップとして5nmまで視野に入れていると熊谷氏は述べる。

■ 次世代マイニングチップ

製造プロセス・ルール:7nm
予定性能:10 TH/秒(1チップあたり)
消費電力:500W以下(1チップあたり)
給電方式:48V直流給電
体積:競合製品の1/20
対応仮想通貨:ビットコインおよびSHA256方式の代表的なアルトコイン

○安価でエコな再生可能エネルギーを利用する次世代マイニングセンター

この半導体チップを利用した次世代マイニングセンターの建築予定地は、北欧。これは、第1に安価で環境にやさしい再生可能エネルギーが利用できること、第2に寒冷な気候によって発熱が抑えられ省電力で運用できることが理由だという。日本で運用する場合と比較し、1/3の消費電力を実現し、コストダウンを図りたいと熊谷氏は述べる。

システムは半導体モジュール8枚で1枚のシステムボードが、システムボード2枚で1枚のブレードが、そしてブレード8枚で1台のタワーサーバーラックが構成される。ラックあたりの性能は1,250 TH/秒(1.25 PH/秒)だ。このラック50台×8列=400ラックでマイニングセンターが構成される予定だ。システム全体の性能は500 PH/秒 (0.5 EH/秒)に上る予定となっており、これは現在の総ハッシュレートの約6.3%にのぼる。

■ 次世代マイニングセンター

予定地:北欧(具体的な場所は非公開)
システムボード性能:80 TH/秒
システムボード消費電力:4,000W以下
ブレード性能:160 TH/秒
ブレード消費電力:8,000W以下
タワーサーバーラック性能:1,250 TH/秒
システム全景:400ラック
システム性能:500 PH/秒 (0.5 EH/秒 、500,000 TH/秒)
(2017年9月現在の世界の総ハッシュレート:約 8 EH/秒 の約6.3%(1/16)に相当)

●マイニング事業参入戦略とは?
○3つのマイニング事業参入パターンを想定

このマイニング事業への参入パターンとして、同社は3つのパターンを想定している。1つ目は、ここまで説明されてきた次世代マイニングセンターによる「自社マイニング」。次世代マイニングチップによる稼働は2018上半期が想定されており、2017年12月にはすでに市場に存在している既存のチップを利用した試験運用が始まる予定となっている。

2つ目は、自社マイニングに成果が現れたのちに行われる予定となっている「クラウドマイニング」。これは、個人や団体から設備資金を調達するとともにマイニングリソースを貸し出し、マイニングによって得られた利益を配当として分配する仕組みだ。マイニングという競争に本格的に参入し利益を上げるためには多くの資金を必要とするが、少額投資でもマイニングに参加でき、その配当を受け取れるシステム作りを目的とする。提供単位は、契約期間、契約計算量の組み合わせによって行われる予定だ。

3つ目は、一般ユーザーに向けたマイニング用の「ボード販売」だ。個人や団体がよりマイニング事業に参入しやすい環境を作ることを目的としている。インターフェースとしてPCI-Expressの採用を予定しており、PCIe x4以上のスロットに挿入して使用することが想定されている。WindowsやLinuxに対応し、300W級のGPUを動作させることができるデスクトップPCであれば、専用電源を用意することなく動作させられるという。1ボードあたりの性能は、初回出荷時で8TH/秒以上、消費電力は約300Wを予定しており、販売価格は未定。

マイニングされたビットコインは、仮想通過の交換・取引事業を行うグループ企業「GMO Coin」との連携によって取引機会を確保する。通貨ペアの拡充による取引機会提供も予定されており、アルトコインの拡充、クロス円に加え、クロスドル・クロス仮想通貨も視野に入れているという。

○チップとマイニングセンターに約100億円の投資を予定

このたびGMOインターネットはマイニング事業への参入を発表したが、2年以上前から仮想通貨事業への参入を計画し、研究を進めてきたという。次世代マイニングチップを開発したのも、マイニングで利益を上げるために必須であると考えたからだと説明する。熊谷氏は今回のマイニング事業へかける金額として、「試算中ではありますが、今回の事業には約100億円の投資を予定しています。これはチップの開発、北欧での投資、すべて含めたものです」と述べる。

現在、マイニングによって新規に発行される仮想通過量は、一日当たり1800BTCとなり、約8.5億円に相当する。そして、このBTCは毎月伸び続けている。ビットコイン用のマイニングチップ販売では中国のBitmainが圧倒的なシェアを保持しているものの、インターネットにおける金融取引において20年以上のノウハウを持つGMOインターネットがこの分野に参入するというのは、非常にチャレンジングだ。

熊谷氏はビットコインのコミュニティに対し、「私どもはマイニングに置きまして新参者でございますので、Bitmainさまからもコミュニティの皆様からもたくさん学ばせていただきたいと思っております」と述べる。しかし、金融におけるノウハウをもった大企業が、次世代マイニングチップを開発し、本格的に参入するとなると、その影響力は無視できないものとなるだろう。今後の同社の動向が注目される。
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