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見かけやカメラにあらず、新iPhoneの本当の価値

2017年9月24日 17時02分 (2017年9月26日 07時40分 更新)
●手に入りやすいiPhone 8
アップルは9月22日に、新型スマートフォンとなるiPhone 8、iPhone 8 Plusを発売した。去る9月12日のイベントで発表したスマートフォンのうち、より未来を提示したiPhone Xは11月3日に発売される予定となっている。

今回のiPhone発売日の出足は、過去のモデルよりも緩やかな雰囲気だ。

米国のアップルストア各店舗では例年通り行列ができ、いち早く新製品を手に入れようとする人が並んでいる。しかしオンラインストアを見ると、発売日の段階で納期が1カ月以上先になってしまっていたことに比べれば、どのモデルも1週間以内で手元に届く状態となっている。

発売日、シリコンバレーのパロアルトにあるアップルストアを訪れたアップルのティム・クックCEOは、「良い供給状態だ」とコメントしている。

○今回のiPhoneの機会損失を防ぐ工夫

アップルは今回、9月22日と11月3日、という2つの発売日を設定し、3つの新モデルを用意する例年にない動きを見せている。

確かにハイエンドモデルを求めるユーザーが、iPhone Xの発売を待つ動きもあり、特にこれまで品薄状態が続いた大型ディスプレイとデュアルカメラを備えるiPhone 8 Plusも、納期1週間と比較的に手に入れやすい状態になっている。

それとは別に、安定供給を実現する工夫も行っている。

iPhone 7シリーズでは、2つのディスプレイサイズに加え、モデル末期では合計6色もの展開をしており、さらに保存容量も3種類だった。しかし今回のiPhone 8シリーズは、色を3色に絞り、保存容量も2種類とすることで、用意しなければならない仕様のバリエーションを大幅に減らしている。

もちろんそれは後に登場するiPhone Xの生産ラインを確保することも考慮しているだろうが、安定供給しやすい工夫は、機会損失を防ぐ上で効果的だ。そのことは、2017年春までのiPadの品薄による販売台数の伸び悩みから得た教訓ともいえる。

●注目すべきは見かけの変化ではない
○新型iPhoneで最も重要なのは、A11 Bionic

iPhone 8シリーズを評価するレビューでは、ガラスデザインへの進化、カメラの大幅な画質向上が話題の中心となっている。裏を返せば、それ意外に「現状」は、これまでとの違いを見出すことが難しい、ということだ。

実際、iPhone 7シリーズも性能面、機能面、カメラの面で十分なスマートフォンとして評価することができた。スマートフォン自体の成熟が進んでいることから、だんだん進化の余地が少なくなってきたのは、iPhoneにしても、Androidスマートフォンにしても同じことだ。

その点で、アップルは有機ELディスプレイを搭載する新世代のiPhoneを示すことで、Androidスマートフォンよりは、代わり映えする余地を残していた、とも取れる。

ただ、iPhone 8シリーズとiPhone Xで共通して採用しているプロセッサ、A11 Bionicへの注目を忘れてはならない。

iPhone Xでは、指紋認証に変わり、3万ものドットを読み取って高速に顔認証を行うFace IDが導入された。機械学習のうち、ニューラルネットワークを利用して、変化する顔でも学習しながら認証ができる仕組みを提供する。

実際に試してみると、Touch IDと同じ速度で、なんの動作をしなくてもロック解除を行うことができるそのスピードに驚かされた。正体でなくても、つまりちょっと横を向いた状態や、下からあおっている状態でも、ロック解除される。

この高速な処理は、顔の筋肉50カ所を認識して、自分の顔の表情で絵文字のアニメーションを作ることができるAnimojiにも用いられている。

こうした処理を軽々とこなしているのが、A11 Bionicプロセッサであり、同じものがiPhone 8シリーズにも採用されているのだ。

●無限の可能性を拡げるA11 Bionic
アプリで激変する可能性を秘める

iPhone 8シリーズは前述の通り、成熟したスマートフォン自体の機能を評価するポイントは限られている。しかし無限の可能性を拡げる要素として、A11 Bionicが存在している。

処理性能と省電力性に加え、グラフィックス性能、機械学習処理の性能などを強化した新しいプロセッサは、iPhone 8シリーズとiPhone Xの最大の武器になる。

アップルはプライバシーの問題から、中央集権的な人工知能ではなく、各自のスマートフォンの中で処理を行う分散型、オンデバイスの機械学習処理を推進しており、A11 Bionicもその前提で設計されている。

iOS 11からはCore MLといわれる機械学習フレームワークが利用できるようになり、普段我々が使っているアプリにも、機械学習処理の恩恵がもたらされるようになることが予測できる。

日常で利用できる機械学習処理を用いたアプリが、例えば5個を超えた瞬間、iPhone 8とその他のスマートフォンとの間に、埋められない溝があることを体験することになるだろう。

また同じくiOS 11では拡張現実アプリを開発できるAR Kitも利用できるようになる。ゲーム以外にも、街の検索や人、空間への装飾など、カメラを利用した新しい体験を、より多くの人々に提供できるようになる。

iPhoneの進化は今一度、アプリ開発者の創造力に託された状態となった。その観点から言えば、デバイスとしてのiPhoneの評価だけで判断すると、アップルの狙いを見誤ることになるだろう。

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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