スキマスイッチ 新しい章の幕開けとも言うべき渾身の一枚 ニューシングル『LINE』/インタビュー

■New Single『LINE』インタビュー(1/3)

「今回は本当、2人一丸となって作ったって感じがします」(常田)

昨年12月にアルバム『スキマスイッチ』をリリースして以降、長い全国ツアーの旅へと出ていた彼ら。今年7月に“SPECIAL”と題した終着地に辿り着いた2人が今、約1年ぶりとなる新曲「LINE」を完成させた。タイトル曲はTVアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』のオープニングテーマとして書き下ろされた楽曲で、彼らにとっては「星のうつわ」に続き2回目となる『NARUTO -ナルト-』作品への参加となる。一方、カップリングの「ハナツ」は、つい先日日本中を熱くさせたことも記憶に新しい、今まさに旬と言えるであろうラグビーの、全国高校大会を彩る大会テーマソング。彼らは菅平の合宿所を実際に訪れた上でこの曲の制作に取り掛かったという。ツアーを経て彼らが手にしたものと新たなる挑戦――それらが渾然一体となった、スキマスイッチの新しい章の幕開けとも言うべき渾身の一枚について語ってもらった。
(取材・文/片貝久美子)

今までの自分たちがやってきた過去のものをちょっと背負って、未来に向かってまだ走っていく

――今回のシングル『LINE』はアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』のオープニングテーマですが、昨年公開された映画『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』に続いての『NARUTO -ナルト-』作品ということで、お二人の中にもすでに“NARUTO感”があった上での制作だったのでは?

大橋卓弥(以下、大橋):そういう意味では、前作『星のうつわ』の時にオファーをいただいた時、『NARUTO -ナルト-』っていうと疾走感のあるアップテンポな楽曲を書いてくると思われるんじゃないかなと思ったりしていて。そこをいい意味で裏切れたら、スキマスイッチと『NARUTO -ナルト-』との面白いコラボレーションになるんじゃないかなと思って、前回も敢えてミディアムバラードの楽曲を提出したんです。それを気に入っていただけた上での2回目のオファーだったので、僕らはちょっと違ったコラボレーションを求められて、前回同様、ちょっと違う変化球で何か書いてもらえませんか……とは言われてないんですけど。

――あ、言われてないんですね(笑)。

大橋:言われてないんです(笑)。言われてないんですけど、そういうコラボレーションの仕方を求められてるんじゃないかなと、勝手に思ったりしてるところもあって。今までの『NARUTO -ナルト-』のオープニングを聴いてみると、やっぱり疾走感のあるアップテンポが多いんですよね。じゃあそこで僕らなりに違うコラボレーションができたらいいなと思って、今回の楽曲にしたんです。

常田真太郎(以下、常田):ただ、4つ打ちで、アップテンポで、みたいなテーマを具体的に言われたわけじゃないんですよ。エモーショナルなものっていうのは言われましたけど。そこが合致すれば、僕らのシングルとしてもすごくいい雰囲気で作れるのかなっていうのはありました。実際のテレビシリーズが、今回からはちょっと違うものになるっていうのも大きかったですね。これまでは単行本を追っている感じのストーリーだったのが、今回からテレビシリーズならではの、それこそ変化球のものになるということで、そういうタイミングならアリかもしれないって、ひょっとしたらそこに乗っかってもらえたのかもしれません。

――「LINE」を聴いた時、あ、これは大人になった“全力少年”だなって思いました。

大橋:意識して作ったわけじゃなかったんですけど、僕らも途中で、なんか今の「全力少年」みたいだよねって話になったりもして。タイトルのLINEっていうのは、自分たちが活動してきた道――歌詞の中でいう<轍>だったり、自分の進んできた道だったり、それから前に広がっている道だったり――そういう意味のLINEなんですね。この曲を作りながら考えていたのが、自分たちがやってきたことが人から何て呼ばれるかとか、自分たち自身がどう思うかってこと。で、もしもそれが歴史と呼ばれるんだとしたら、それは誰か他の第三者の人が歴史としてくれればいいというか……。歴史を作ろうと思って今まで活動してきたというよりは、その時ガムシャラに作品を作って、それをリリースし続けて、今回で23枚目(のシングル)なんですけど、何か決意みたいなものが自分たちの中にあって。ラストで<死ぬまで漕げ>って歌ってますけど、ここから先も、今までの自分たちがやってきた過去のものをちょっと背負って、未来に向かってまだ走っていくぞっていう。だからやっぱり、今の僕らが作った「全力少年」なんですよね。当時は<積み上げたものをぶっ壊して>でしたけど、今は、壊すとかではなくて、自分たちが積み上げてきたものを受け入れて、また前に進んで行く。そんな感じが自分とも重なり合って、完成した曲を聴いた時、今の自分たちみたいだなぁって思ったりしましたね。

常田:タイミングもあるかもね。ツアーが終わって一発目だったから。

――やっぱり今年行っていたツアーがお二人にとって一つ大きな意味を持つものになったという感じですか?

常田:そうですね。タイトルが『スキマスイッチ』ですからね。

大橋:アルバムも『スキマスイッチ』っていうタイトルで、“今の自分たちはコレですよ”っていうのが出来上がった上でのツアーだったので。しかも今回のツアーは、音楽を聴いてもらおうというコンセプトでやっていて、いつもとは違う心持ちだったところもあったんです。なんていうか、僕らのツアーに対する意識も、公演を重ねるごとにより強くなっていったと思うんですよね。そのツアーが終わった時、まぁ一区切りとまでは言わないですけど、一つやり切ったなという感じの気持ちはありました。

――先ほどおっしゃっていた、スキマスイッチなりの疾走感を出すために工夫したことは?

常田:あまりバンドバンドしすぎると、今までやってきたものと似てきちゃうなっていうのはありましたね。6/8拍子はこれまでもないわけじゃないですけど、そこで同じような風景を作らないってところで、“今の感じ”にするとこんな風にシンセをメインに構築するのが面白いのかなっていう。今回、ギターは西川(進)さん、ドラムは佐野(康夫)さんにお願いしているんですけど、お二人ともすごくいろんなアイデアを出してくださるんですよ。例えば西川さんのギターだと、エフェクターを使うことで空間を膨らませるとか。面白いし、勉強になるし、何より一緒に作ってるって感じがして好きなんですよね。

――西川さんや佐野さんにお二人から事前に演奏スタイルのリクエストすることもあるんですか?

大橋:デモの段階から、この人ならこう弾くんじゃないかなっていうイメージもありますからね。デモを聴いていただいた時点で、ある程度の世界観は伝わっていると思います。

常田:(リクエストは)言葉じゃなくて音でっていう感じです。そもそも佐野さんのプレーは大好きなので、デモでも佐野さんっぽくやっちゃってるんですけど(笑)。

スキマスイッチ 新しい章の幕開けとも言うべき渾身の一枚 ニューシングル『LINE』/インタビュー

やっぱり大事なのは切り開いて行く瞬間。その瞬間の連続が過去になっていく

――完成した曲に対してアニメ制作サイドからの感想は届いていますか?

大橋:どうなんだろう……? 実は、曲を提出する時、正直僕らは自転車に乗るっていう歌詞が、『NARUTO -ナルト-』と自転車ってあり得るのかなって、ちょっと不安に思ったりしていたんです。あまりにもアニメの世界観の中にないイメージだとしたら、自転車に乗っているテーマ自体が合わないんじゃないかって、勝手に。でも実際は、満場一致で喜んでいただけたみたいで。僕らが何か具体的な感想を言われたわけじゃないですけど、楽曲を認めてもらった時点でそれが答えなのかなぁと思って。それに、アニメのオープニングで流れた時もいろんな人たちがいい意味で騒いでくれたらしいので。それは、作品に対して強い思い入れがあるであろう『NARUTO -ナルト-』のファンの方にも認めてもらえたってことなのかなって気はします。

――『NARUTO -ナルト-』の主題歌ということは、世界レベルで広がっていく話ですもんね。

常田:YouTubeのコメントとかも、いろんな国の言語で書いてあって。

――何て書いてあるんだろう、と。

常田:そうなんですよ(笑)。アラビア語から中国語から韓国語から英語から。ビックリしましたね。さらに他の曲にもコメントを書いてくださる方もいて、そうやって聴いていくんだなぁって思ったり。

――今っぽい広がり方ですね。

常田:そうですね。家にいながらにして海外の情報がっていう。『NARUTO -ナルト-』はそれだけの作品なんだってことを改めて思ったりしましたね。

――スキマスイッチにとってはこの曲でまた新たに一直線の道が続いていくんでしょうね。

常田:そうですね。後ろに続いてればいいなぁと思いますね。“轍”なので。目の前に描いている自分なりの“LINE”は、あくまでも想像であって、確実に見えるのは後ろの“LINE”ですから。でもそれも、だから?っていうぐらいのレベルで。やっぱり大事なのは切り開いて行く瞬間、瞬間っていうか。その瞬間の連続が過去になっていくと思うんですけど。この曲が描いていることは、自分たちともすごく重なると思いますね。

――そしてカップリングの「ハナツ」ですが、こちらは第95回全国高校ラグビー大会の大会テーマソング。合宿先にも足を運ばれるなどして制作されたとか。

大橋:そうですね。このお話をいただいた時、僕らはラグビー経験者でもないですし、やったことがないと言っていいくらい。それこそ学校の体育で……やった?

常田:やってない。

大橋:うちは少しだけやったけど、本当、2人ともそれぐらいのレベル。なので、そんな僕らが引き受けていいのかな?みたいな気持ちも最初にあったんです。でも、この企画自体がラグビーの合宿所……菅平っていうラグビー合宿の聖地みたいなところがあるんですけど、そこに行って、選手たちの声を聴いて、そこから吸い上げたものをスキマスイッチなりに曲にしてほしいっていう企画だったんですよ。それなら僕らの温度感とすごく合うなと思って。というのも、僕らはそんな、まったく手の届かない存在というよりは近所のお兄ちゃんが音楽やりましたぐらいのキャラクターなので(笑)。実際に選手たちと会って、普通に話を聞いて、それを自分たちの中で消化して楽曲にするっていうのは、その時点でスキマスイッチらしい楽曲になるんじゃないかなって。

常田:その日喋った子たちはみんな、県の代表とか優勝校の選手たちだったりするんですけどね。

大橋:自分たちを手の届かない存在じゃないって言ってますけど、向こうが手の届かない存在だった(笑)。

常田:そうそう(笑)。全国優勝を目指せるぐらいの精鋭たちですからね。

――(笑)。そんな選手たちが練習に打ち込む姿を見て、どんな印象を抱きましたか?

大橋:すごく刺激になりましたし、面白かったですね。

常田:選手たちだけでなく、監督さんともお話しできたんですよ。そういう監督さんの目線とかもすごく面白くて。みなさんが口を揃えて言っていたのは、人間としてどこまで成長できるかを大事にしているっていう。勝つことも大事だけど、その上での人格形成。それから、共有。共有っていうのは、ラグビーに特化した言葉なのかもしれないですけど。1つのボールをみんなで繋いで、みんなで追って、みんなで届かせるってことを中心に考えられてるスポーツって、他になかなかないと思うんです。“俺は黒子でいい”みたいな考え方がダメっていうのが、自分の中ではすごくセンセーショナルだったというか。そこを歌詞にしたいなと思ったので、(合宿を見に行った日は)歌詞のヒントをとにかくたくさんもらえた日だなぁって思いましたね。

――その経験を経て楽曲制作を行った、と。

常田:はい。まず卓弥が叩き台として持ってきたメロディがバラードだったんですよ。バラードという切り口もあるんじゃないかっていうのはちょっと前から話してはいたんですけど、番組のテーマだと鼓舞するようなアップテンポなイメージも浮かぶじゃないですか。それがバラードできたので、なるほどねと思って。それを聞いた上で、僕からダメもとで提案してみたのが、詞先っていう。この曲も面白いけど、ちょっと歌詞先行で作り直してみない?って提案をして。そこに卓弥がもともと持っていたバラードのイメージを当ててもらうっていう、今までとは全然違う方法で作ってみたんです。そうなったのには、合宿を見に行った日にお互いが強い思いを持ったんだなって思いますね。

――紙資料には、部活のように本気で言い合いながら作ったと書いてありますが。

常田:そうそう(笑)。まぁだいたいいつもそうなるんですけど、今回の「ハナツ」に関しては特に長く、多く、話をした気がしますね。

――ラグビーをテーマに書かれたとはいえ、歌詞に書かれている葛藤や決意や希望はラグビーをやっていない人たち――それこそ私たちのようなリスナー一人ひとりの中にもあって……まるで自分のことのように思いながら聴かせていただきました。

常田:会社員であるとか、プロジェクトチームだとか、何かの一員であることって実社会に生きる中で必ずあることなので、そことリンクできたらいいなという想いもありましたね。

――歌詞はもちろんのこと、ピアノからストリングスまで駆使したアレンジも含め、かなりドラマチックな曲に仕上がっていますね。

常田:テーマがJ-POPのバラードを作ろうっていう、今までやってそうでやってなかったものっていうイメージもあったんです。今まで聞いてきたバラードってこんな感じだよねって話しながら。青春時代に通ってきたものっていうアイデアは卓弥から出てきたものなんですけど、タイトル曲の「LINE」がああいう感じでまとまったので、その逆をいくサウンド感も面白いなっていう。

――言われてみれば、青春っていうイメージもしっくりきます。

大橋:そうですよね。自分たちも、ラグビーはやってなかったけど部活はやってましたから、重なるところはたくさんあって。当時のことを思い出したりしましたね。

――インタビュー2へ

≪動画コメント≫


≪リリース情報≫
New Single
『LINE』
2015.11.11リリース

スキマスイッチ 新しい章の幕開けとも言うべき渾身の一枚 ニューシングル『LINE』/インタビュー
LINE【初回生産限定盤】

【初回生産限定盤】CD+DVD
AUCL-30032~33 / ¥1,800(税抜)
※透明ブックレットカバー
[収録曲]
1. LINE
2. ハナツ
3. スキマスイッチのミッドナイト・グッドモーニン!! -2-
4. LINE(Backing Track)
5. ハナツ(Backing Track)
<DVD> ※初回生産限定盤のみ収録
スキマスイッチのミッドナイト・グッドモーニン!! -2- THE MOVIE

スキマスイッチ 新しい章の幕開けとも言うべき渾身の一枚 ニューシングル『LINE』/インタビュー
LINE【期間生産限定盤】

【期間生産限定盤】CD
AUCL-191 / ¥1,300(税抜)
※『NARUTO -ナルト- 疾風伝』描き下ろしジャケット&デジパック仕様
※2016年3月31日までの期間生産限定
[収録曲]
1. LINE
2. ハナツ
3. スキマスイッチのミッドナイト・グッドモーニン!! -2-
4. LINE(anime ver.)
5. LINE(Backing Track)
6. ハナツ(Backing Track)

スキマスイッチ 新しい章の幕開けとも言うべき渾身の一枚 ニューシングル『LINE』/インタビュー
LINE【通常盤】

【通常盤】CD
AUCL-190 / ¥1,200(税抜)
[収録曲]
1. LINE
2. ハナツ
3. スキマスイッチのミッドナイト・グッドモーニン!! -2-
4. LINE(Backing Track)
5. ハナツ(Backing Track)

≪イベント情報≫
【Denka presents J-WAVE LIVE~WINTER】
2015年12月13日(日)東京・Bunkamuraオーチャードホール
w / 藤井フミヤ、クリスタル・ケイ、川畑要、安藤裕子

【塩谷哲プロデュース Saltish Night vol.XIX】
2015年12月23日(水・祝)東京・中野サンプラザホール
w / 塩谷哲、佐藤竹善、PUSHIM、小沼ようすけ

【COUNTDOWN JAPAN 15/16】
2015年12月31日(木)千葉・幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール

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