「コント冬の時代」に生れ落ちた寵児 ジャルジャル

2008年11月19日 12時00分

ジャルジャルの戯(あじゃら) 1/
よしもとアール・アンド・シー

 現代は、テレビ史上でも空前の「コント冬の時代」である。かつては、売れっ子芸人なら必ず自分のコント番組を持っているものだった。毎週大がかりなセットを組んで、それぞれの芸人が本格的なコントを披露していた。


 今では、制作費削減のあおりを受けて、大がかりなコント番組はテレビ界から姿を消しつつある。コスト削減、効率重視が求められている中で、昔ながらの本格的なコント番組を作ることは難しくなってきているのだ。

 だが、コントを作る人が減っているわけではない。若手芸人の中でも、コント志向を貫いている芸人は数多い。そんな中でも、新感覚の秀作コントを量産して、今にわかに注目を集めている若手芸人がいる。それが、ジャルジャルだ。

 先日、彼らのファーストDVD『ジャルジャルの戯1』がリリースされた。このDVDには、ジャルジャルの代表作とも言える9本のコントが収録されている。

 ジャルジャルの2人が見せるコントは、徹底してシンプルな構造になっている。衣装も小道具もほとんど使わず、黒のシャツとベージュのパンツ姿の2人が舞台に上がる。そして、わかりやすい構成のコントを全力で演じ切る。ただそれだけだ。

 例えば、DVDに収録されているコント「理解不能者~野球部入部~」では、後藤淳平演じる野球部の先輩が、福徳秀介演じる新入部員にバットの振り方を教えようとする。だが、福徳はいくら教えられてもバットの持ち方すら理解することができず、赤ちゃんを抱きかかえるように持ったり、見当違いのミスを繰り返してしまう。

 この手の「意識のズレ」を描くこと自体は、コントのネタとしてさほど目新しくはないかもしれない。だが、ジャルジャルが一歩秀でているのは、巧みな演技によって、「バットの持ち方がわからない」というナンセンスな設定に妙なリアリティーを持たせているところだ。

 このコントでは、いつまで経ってもバットを上手く持てない新入部員の福徳に対して、後藤演じる先輩部員が終始もどかしいそぶりを見せている。するとある瞬間に突然、福徳の方がイライラした態度を示すのである。そして後藤に「なんで俺よりイライラしてんの?」と言われてしまう。

 このやりとりが挟まることで、福徳がバットの持ち方がわからないふりをして後藤をからかっていた、という可能性が消えて、彼は本当にバットの持ち方を理解していなかったのだということになる。

 つまり、「バットの持ち方がわからない」という本来あり得ないはずの設定が、少しだけリアルに見えてくるのだ。

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

  • Yahoo!ブックマークに登録
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • シェアする
  • Check

関連するエキサイトニュースの記事

注目の商品

携帯電話でニュースをチェック!
携帯ポータルサイト「エキサイトモバイル」