今年のNHK紅白歌合戦にも出場する3人組ヒップホップグループ・ファンキーモンキーベイビーズが、来春のコンサートツアー終了をもって解散することを発表。メンバーであるDJケミカルが実家の寺を継ぐことが理由というが、一定の人気を保った状態での解散劇に、音楽業界では驚きの声が上がっている。

「ファンモンは、CDセールスは落ちているものの、抜群のコンサート動員力を持っているグループです。横浜アリーナや大阪城ホールを年1回ペースで回れるグループなど、今のJポップ界の中堅・若手では数えるほどしかいない。所属事務所は、彼らと平原綾香で持っているような会社なので、相当引き留めたはずだが、本人たちの意志が固かったということでしょう」(ほかのレコード会社関係者)

 DJケミカルの実家が寺であることはファンにも広く知られており、今回の解散発表に対しては、ネット上で「住職を継ぐなら仕方がないな」「DJケミカルは、やはり重要キャラだった」と温かく受け止める向きも多いようだ。もっとも、レコード会社や所属事務所が直面する“収益機会損失”を考えると、その解散理由を額面通りに受け取りにくいのも事実。

「DJケミカルは“DJをしないDJ”として、ライブでは常に人気者でした。音源制作にも関わるなど重要なメンバーであるのは間違いないのですが、彼の脱退イコール解散というのは腑に落ちません。

そもそも住職をやりながら音楽活動を続けることも可能ですし、以前からささやかれていた2人のメンバー(ファンキー加藤、モン吉)の方向性の違いのほうが、解散理由として大きいのではないか。ファンキー加藤とモン吉は性格的に水と油といわれていて、何かとぶつかっていましたから。後輩であるDJケミカルはグループの潤滑油的な存在で、今回の解散理由も、後輩としてかぶったのでは」
(イベンター関係者)

 いずれにしても、今回のファンモンの解散で、所属のドリーミュージックは“稼ぎ頭”を失い、場合によっては経営困難に陥る可能性さえあるという。

「元エイベックス社長の依田巽氏が実質的なオーナーを務めるドリーミュージックは、音楽業界の名物プロデューサーを多数雇用し、加山雄三森山良子らが所属していますが、売れ筋の若手があまり育っていません。平原綾香とファンモンで長く引っ張ってきたものの、ファンモン脱落となれば会社組織の縮小さえも視野に入ってきます。それを回避する意味でも、ファンキー加藤とモン吉がそれぞれ、ソロかユニットを組んで活動を開始するのでは? と見られています」(先のイベンター関係者)

 CDやダウンロードなどの音源販売の不振が続く中、ファンモンのように“客の呼べる”グループの解散は、業界全体にとっても痛い話。

DJケミカルのように、観客に愛される“賑やかし”の登場が望まれる。
(文=越谷由紀)