22日に行われたJ1セカンドステージ最終節、サンフレッチェ広島は佐藤寿人の歴代Jリーグ最多得点記録に並ぶゴールなどでステージ優勝と、年間勝ち点総合1位を決めた。翌23日、ジュビロ磐田がロスタイムにMF小林祐希の劇的ゴールでJ1への自動昇格の2位に滑り込んだ。
「残り一節の時点で、レノファ山口と町田ゼルビアが勝ち点77で並んでいて、得失点差で山口が上回っていました。そして最終節、町田が長野パルセイロ相手にアウェイで引き分けて勝ち点1を上積みした試合終了後、同時開催されていたガイナーレ鳥取対レノファ山口で、山口が1-2で敗れ、町田の優勝&J2昇格決定という情報が流れました。これには、選手やクラブ関係者、スタジアムに詰めかけたサポーターは優勝の歓喜に酔いしれましたが……。しかしこれが、一部のサポーターの早とちりによる誤報で、後半45分までは山口が負けていたものの、ロスタイムにMF平林のゴールで2-2の引き分け。
1年間という長い時間をJ2昇格のために費やした結果、誤報により天国から地獄に突き落とされてしまった選手たちの落胆は想像を絶する。しかし、誤報により盛り上がってしまったのは、スタジアム内だけではなかったという。
「スタジアムで観戦していた町田経済新聞の記者も勘違いし、『首位のレノファ山口がガイナーレ鳥取に敗れたため、町田が逆転優勝』とツイッターでつぶやいてしまったのです。これを見た現地に行けなかったファンが歓喜の雄叫びをあげ、奇声が町田の至る所から聞こえてきたって話ですよ。
J1やJ2と比べてJ3は薄給であり、サッカーの他にも仕事をしなければ満足な生活が送れない選手がほとんどだ。しかし、J2に昇格すれば選手たちの待遇や給料は格段に変わり、引退後の再就職にも影響を与えることになる。昇格は、ただJ3からJ2にカテゴリーが上がるだけではなく、未来を変える大きな人生の転機となるのだ。
しかし、この一戦で昇格への道が断たれたわけではない。J2の21位大分トリニータとのJ2・J3入れ替え戦がまだ残っている。
(文=沢野奈津夫)