戦争を前にあぶり出される男たちの愚かさ、女たちの醒めた視線と嘆き

2017年10月6日 15時00分 (2017年10月13日 16時11分 更新)
新国立劇場の2017/2018シーズン演劇公演『トロイ戦争は起こらない』が10月5日に開幕した。栗山民也を演出に迎え、鈴木亮平に一路真輝、鈴木杏、谷田歩ら実力派キャストが、フランス近代演劇の金字塔といわれるジロドゥの傑作に挑む! 初日直前の稽古場の模様をレポートする。

舞台『トロイ戦争は起こらない』チケット情報

外交官でもあったジロドゥが第二次世界大戦開戦の4年前、ナチスが台頭する社会情勢の中で執筆した本作。トロイの木馬で知られるトロイ戦争の開戦をなんとか回避しようと奔走するトロイの将・エクトールの姿を通じ、戦争を繰り返す人間の愚かさ、哀しみをあぶりだしていく。

勇将と名高いエクトールだが、この物語で求められるのは“武”ではなく“智”であり言葉の力。栗山はジロドゥの戯曲について「英語のような論理性ではなく、モノローグとダイアローグが混在し、詩のよう」とその難しさを語るが「俳優の肉体を通すことで、その言葉が独特のリズムを持ち、物語を転がしていく」とも。鈴木は自らの大きな体躯を道具とし、言葉を共鳴させながら、戦争回避のための言葉を力強く繰り出していく。だが、その重い言葉の数々が目の前の人々の心に響かないところが、人間の愚かさであり、本作の面白さ。

戦争の原因は美女。エクトールの弟、トロイ王子・パリスがギリシャの王妃・エレーヌにひと目ぼれし、誘拐したことから一触即発の状態に陥るが、エクトールの父である王をはじめ、男たちはみなエレーヌに入れあげ「ギリシャにエレーヌを返すべき」というエクトールの言葉に耳を貸さず、「戦うべし」と勇ましい言葉ばかりを並べる。

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