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文豪・森鴎外が主張した「独淫」

2017年10月7日 16時00分 (2017年10月10日 06時47分 更新)


今年のノーベル文学賞に、日系イギリス人で世界的なベストセラー作家のカズオ・イシグロ氏が選ばれた。イシグロ氏は長崎県の出身ということもあり、日本でも大いに話題になったが、翻訳本として触れる機会が多い“外国人作家”の作品なので、これを機に初めて読んでみようという人も多いのではないだろうか。


読書の秋でもあり、海外で多く読まれた日本を代表する作家の古典的な名著のページを繰るのも一興だ。今回は、その名を知らぬ人はいない文豪の森鴎外の、意外な一面を紹介しよう。


明治時代、富国強兵政策を推進した日本が学歴偏重主義へ移行していくなか、“性”というものは勉学心を阻害するものだとする見方が急速に広がっていった。教育関係者のあいだでは、児童のマスターベーションをどうやって勉学心に振り向けるかが盛んに論議され、その結果「マスターベーションすると知能の成長が止まる」とか「身体の成長が止まる」といった説が流布されたのである。


だが、この説は当時のドイツで収集された特異な事例だけを集め、「マスターベーションするとこうなる」という形で引用され、意図的に流されたものだった。われわれは政府によって歪曲された根拠のない説に、つい最近まで惑わされていたのだから、実にめでたい。


このような流れに対して敢然と立ち向かい、『マスターベーション無害論』を打ち出したのが、当時、軍医として活躍していた森鴎外であった。


 



■ マスターベーションを是認した鴎外


鴎外はまず、自分で自分を卑しめるという意味で“自涜(じとく)”と呼ばれていたマスターベーションを“独淫”と呼び換え、共同で発行していた雑誌『公衆医事』で「オナニーは無害」だという主張を展開したのである。

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