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火星ひとりぼっち。希望ちょっぴりジャガイモたっぷり

2014年9月9日 12時20分 (2014年9月14日 07時33分 更新)

『火星の人 (ハヤカワ文庫SF)』アンディ・ウィアー 早川書房

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 宇宙飛行士マーク・ワトニーは、火星にひとり取り残されてしまった。

 新人作家ウィアーが2014年に出版した(それ以前にウェブ公開とオーディオブック版がある)この話題作は、SF版ロビンソン・クルーソーだ。

 ロビンソンと聞くとつい「ルララ~宇宙の風に乗る~ぅ」と口ずさんでしまうが、そんな悠長な状況ではない。風は風でもこちらは強烈な砂嵐だ。折れたアンテナがスペーススーツを貫いて、マークの脇腹にぶっすり。あまりの激痛に気を失っているうちに、ほかのクルーたちは彼が死んだと早合点して(バイオモニターがフラットになったため)、さっさと帰還の途についてしまう。マークの事故で火星ヤバいと焦ったわけだ。

 マークの脇腹の傷は重症ではなかったが、事態はかなり深刻だ。まずアンテナが壊れているので、地球へ連絡ができない。約四年後には次の火星探査隊がやってくるはずだが、どう考えても物資もインフラもそれまで持たない。マークの元にあるのは、気密の居住空間と三百日分の食糧、火星上で活動できるスーツ(予備があったのだ)、ローバーが二台ある(砂に埋もれかけているが)。また、太陽電池アレイのおかげで電力にはことかかない。酸素供給器も水再生器もとりあえず順調。医療エリアには緊急時用のモルヒネもある。致死量を超える量だ。いよいよのときはこれを使えば楽になれる。

 火星探査のクルーはみな専門分野を二つ持っていて、マークは植物学者でメカニカル・エンジニアだ。

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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