変化球が持ち味の2投手、安めの報酬でスタート 目指せ、日本のウェークフィールド

2012年3月3日 00時00分
 豪速球で三振の山を築くだけが投手の見せ場ではない。今シーズンは変化球で打者を翻弄する投手が、セ・パ両リーグで活躍しそうだ。

 先頃、ボストンレッドソックスのティム・ウェークフィールド投手が現役引退を表明した。投げる球種はほぼナックルボールという、米メジャーリーグきっての魔球の使い手だ。

 もともとは強打の一塁手としてプロ入りしたものの、野手としてのレギュラーの座は遠く、一時は解雇寸前に。そんな彼の窮地を救ったのがナックルボールだった。投手に転向し、ボストンレッドソックスの一員になるやいなや大活躍。最高時は年俸400万ドル(約3億2,211万円)を稼ぎ、通算で200の勝ち星を手にした。

 ナックルボールとは、親指と小指でボールを挟み、それ以外の指をボールに突き立て、突き立てた指をはじくように投げる変化球のこと。球速は120キロ前後と遅く、ほぼ無回転で予測不能な動きを見せて打者を悩ませる。これが魔球と呼ばれる所以だ。

 このナックルボール、捕手にとっても捕球が難しい上、遅い球の宿命で盗塁を許す機会も増加するなどデメリットも多く、投げるプロの投手は減っている。加えて日本のプロ野球の打者は、投手の投げる球をよく見極めるプレースタイルが大多数を占めるため、球道の定まらないナックルボールは分が悪く、多投したり活用する投手はあまり現れなかった。しかしながら今シーズンは、この魔球をウイニングショットとして利用する投手がセ・パの両リーグに出現しそうだ。

 1人はヤクルトスワローズの新外国人右腕のオーランド・ロマン投手。昨年台湾プロ野球で最多勝(16勝)と、2年連続となる最多奪三振(161)の実績を誇る。最速156キロの豪速球に加え、日本デビューに備え彼がマスターしたのがナックルボールだった。春季キャンプや練習試合で試され、結果は上々。1年契約で推定年俸2,500万円プラス出来高と、かなり安めの新戦力ではあるが、外国人投手の発掘には定評のあるヤクルトのお眼鏡にかなった人材だ。神宮の“ドクターK”となるか、注目したい。

 もう1人は、昨年日本一のソフトバンクホークスに社会人からプロ入りしたサウスポー嘉弥真新也(かやま・しんや)投手。契約金3,000万円、年俸1,000万円、ドラフト5位の待遇だ。彼の左腕から繰り出されるのは、その名も「嘉弥真ボール」。左手の人差し指と中指の第1関節を折り、爪をボールの縫い目に食い込ませ、押し出すように投げる。

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