「モンキー高校」を知っていますか? やばすぎる教育困難校にある背景とは

「モンキー高校」を知っていますか? やばすぎる教育困難校にある背景とは

東洋経済オンラインの記事が発端で話題となった教育困難校。教育困難校の現場では、生徒が暴れまわり、教職員たちが対応に追われる日々が続いているという。常に学級崩壊の危機に瀕する教育現場の実態をまとめた。

教育困難校とは?

東洋経済オンラインが10月20日に、「モンキー高校と侮蔑される教育困難校の実態」という記事を掲載し、現在話題を呼んでいる。

記事では「生徒からスマートフォンを取り上げないと授業が出来ない」といった教育困難校の実態が取り上げられており、崩壊している教育現場について問題提起がなされている。

あまり聞きなれない「教育困難校」という言葉だが、どんな意味だろうか。

さまざまな背景や問題を抱えた子どもが集まり、教育活動が成立しない高校のことだ。
モンキー高校と侮蔑される教育困難校の実態 -東洋経済オンライン

なぜ「モンキー高校」と呼ばれてしまうのか

教育に上手くついていくことのできない生徒はどの学校にもいるようなものだろうが、「モンキー高校」と呼ばれてしまうほどひどい荒れ方をした学校まで出てくるのはなぜなのか。

東洋経済オンラインでは「モンキー高校」の学級運営の様子もありのままに報じている。

教室内の生徒たちの間にも休み時間と同じ光景が広がっている。一人の生徒の席の前に数名が集まって、にぎやかにスマホでゲームに興じているグループがいくつもある。教室の後方では数名の男子が、「うけるんだけど~」と言いながら相手の肩をばしばし叩いて、大声で笑っている。その足元では、まぐろのように伸びて一人の男子が爆睡している。
モンキー高校と侮蔑される教育困難校の実態 -東洋経済オンライン
学級内には、こうして騒ぎまくる生徒ばかりではないようだ。
中には静かに教科書の陰に顔をひそめて過ごす静かな生徒もいるらしい。しかし、彼らが真面目に授業を受けているというわけではないようだ。
ひっそりとうつむきがちに自分の席に身を縮めるように座っている生徒も数名いる。彼らも教科書やノートを机の上に準備しているでもなく、また、決して教師と目を合わせようとはしない。さらによく見ると、静かに自分の席に座っているように見える生徒の中には、主題歌を口ずさみながら、「ドラえもん」のキャラクターたちをノートに熱心に描いている男子生徒がいることもわかる。彼は、教室内の喧噪や、教卓に立つ教師の存在を一切気にせず、自分の好きな世界に浸りきっているのだ。
モンキー高校と侮蔑される教育困難校の実態 -東洋経済オンライン
騒ぐ生徒に徹底的に教師を無視する生徒。このようなカオスの教育現場こそ、「モンキー高校」と呼ばれる理由なのだ。

「モンキー高校」で教える先生の熱い心が素晴らしい

「モンキー高校」と揶揄されるような教育困難校にも当然、先生はいる。
しかし、教育困難校では先生も非常に多くのトラブルと遭遇する。東洋経済オンラインでは、話を聞いてくれない生徒に苦心する先生たちの様子が掲載されている。

「こら~!教室に入れ!」
「教育困難校」の授業は、教師のこの声から始まる。チャイムが鳴っても、廊下にたむろしている生徒に向けられる言葉だ。座り込んでまったく動こうとしない生徒を、腕を取って床から引きはがそうとする教師に、「あっ、教師の暴力!」という言葉が浴びせられる。
モンキー高校と侮蔑される教育困難校の実態 -東洋経済オンライン

すぐにも辞めたくなりそうな職場に思えるが、様々な理由から授業に集中できなくなっている彼らの気を授業に引くために工夫を絶やさず、教育方法に研究を重ねている生徒思いの教師もいることも事実だ。

ただ将来、このような先生も減ってしまう可能性がある。実は、新卒の教員志望者数が年々減少しているというデータがある。その中で「モンキー高校」のような教育困難校で生徒たちを教えられる、志が高くて根気強い先生がこの先どれほど出てくるのか未知なところだ。
「OECDの調査で、日本の教員の多忙さが明らかになりましたが、そうした状況をふまえたうえで、あなたは日本で教員になりたいと思いますか」という問いに、「強く思う」と答えた人は12人。「思う」(39人)、「あまり思わない」(120人)、「思わない」(97人)と、約8割が「あまり思わない」「思わない」と回答する結果となった。
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教育困難校問題の本質は生徒側? 仕組み側? ネット上では議論が過熱

東洋経済オンラインの記事を発端とする「モンキー高校」をはじめとした教育困難校を巡る問題についてネット上では呆れる声が上がっている。







一方で、通う生徒の質や先生の在り方には触れず、「高校進学しないと社会でやっていけない」といった風潮のある日本の社会を非難するような意見もあった。




脳科学者として有名な茂木健一郎氏もこの記事を扱ってネット上で意見を述べている。


「モンキー高校」をはじめとする教育困難校の問題には、こうした”選択肢の狭さ”ということも背景としてあるのかもしれない。

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「モンキー高校」は今後も増加? 少子化で入学のボーダーを下げる学校

残念ながら今後も「モンキー高校」のような学校が増えていくのでは、という見方が強いようだ。理由は、高校や大学の数が増えすぎて誰でも簡単に入れてしまうことが挙げられる。

少子化社会と言われている中で、教育機関の数は増えているのだ。

1955年と2014年を比べると、大学数は3倍以上に増えています。大学の種別で見ると、国立大学の数は2000年の99校がピークですが、現在は86校と1955年からそこまで大きく増えていません。公立校は34校から92校ですので、3倍近くに増えていることになります。私立大学はさらにすごいようで、1955年は122校だったのが2014年は603校。実に5倍もの数になっているのです。
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高校も大学も数が多ければ多いほど受験生の確保が難しくなっており、入学するために必要な学力の基準が低下し、いわゆる「Fランク」と呼ばれる誰でも入れる学校が増えてきているという。その結果、勉強のモチベーションがないにも関わらず学校に入学した”勉強しない生徒たち”への対応に教職員たちが疲弊してしまう状態が「教育困難校」の実態につながっているのではないかという見方もあるようだ。

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