米津玄師、ネットからリアルへ。絶大な支持を誇る自称「負け犬」ミュージシャンが語った独特の世界観や歌詞とは?

23日放送の日本テレビ系「ZIP!」でミュージシャンの米津玄師(よねづけんし)が自身の曲作りについて語る場面があった。



28日に「LOSER / ナンバーナイン」をリリースする米津は動画投稿サイト「ニコニコ動画」にボーカロイド楽曲などを投稿し、「マトリョシカ」や「パンダヒーロー」などのミリオン再生曲を生み出した。

その後は、自身の声で歌唱した楽曲も発表し、2013年にはメジャーソロデビューを果たし、1stシングル「サンタマリア」を発売した。



人前に出ることが苦手だという米津は今回のようなメディア露出が少ないアーティストとしても知られており、今回テレビでの「初取材」に応じたことはレアケースとしてTwitterでも大きな反応があり、米津の名前はトレンドワードで1位になるなど、10代~20代の若者を中心に絶大な人気と知名度を誇るネット世代のカリスマ・米津の勢いを象徴する出来事だった。



1人で音楽を作り動画投稿サイトに投稿していた過去について米津は「如何せん、人とモノを作る才能がなかったんですね。個人主義というか、自分の意思をすべて尊重してしまう人間だったんです」と振り返った。自身の曲作りについても「自分と同じような人間がどこかにいるわけじゃないですか。そういう人に対して『できればポジティブな方に』っていうのは毎回思いますね、曲作るときに」と語った。



悩みを抱える人の共感を呼ぶ歌詞について「負け犬なんじゃないかなっていう、自分の中にあるんですね、そういう感覚が。僕、今25歳なんですけれど、もうここまで育ってきちゃったら自分がどういう人間であるということに対して抗えないじゃないですか。ちゃんと前見て生きていくしかないんです。それしか残されていないんです」と、米津は自身の考えを明かした。



音楽プロデューサーの中田ヤスタカは今まですべての楽曲の作詞を自身で行ってきたが、来月公開の映画「何者」の主題歌の作詞を米津にオファーした。その理由を「いろんな悩みとかを持ってる人的にはすごい勇気になる内容になる。

『大丈夫だ』って思わせてくれるような感じになる」と語り、米津を絶賛していた。



放送後、米津はシンプルに「ZIPありがとうございました」とだけTwitterに投稿したが、ここまで2万5千を超えるリアクション(※Twitter上でのRT数+いいね数)が寄せられている。ここでネットの米津人気が垣間見える内容を紹介していきたい。



【驚異的な再生回数】
公式YouTubeチャンネルでの「アイネクライネ」再生回数が今年6月に2000万回を突破



【YouTubeでのミュージックビデオらしからぬコメントの勢い】
7月のフジテレビ系「スカッとジャパン」で「アイネクライネ」が使用された際は2000万再生を達成した相乗効果もあってか、「人気YouTuberか、ニコニコ動画か」と言いたくなるような猛烈な勢いでコメントがつきまくっていた。



【本家・ニコニコ動画でのコメントの勢いも強烈】
同番組放送時には、OPから「スカッと~」に関するお祝いの弾幕で埋め尽くされていた。



【本人Twitterへの突出したリアクション数】
国内最大のフォロワー数(約600万)を誇る人気芸人・有吉弘行のツイートへのユーザーからのリアクション数は数千規模という驚異的な数値を誇る。

これに対して、米津のツイートは実はそれ以上の強烈さで、1万が標準的リアクション数、多い時には10万を超えるリアクションも見受けられる。



【レアなツイキャスも人気】
ツイキャス等を用いた生配信ではレアなカバー曲のライブ演奏などもあって、ファンの間で高い人気を誇る。不定期配信で告知は直前、もちろんアーカイブはほぼ残っていない(観れたらラッキー!)。



以上の情報は、ネットから拡大した米津のファン層が一般の音楽ファンを巻き込んだ現象へと拡大している(ネットとリアル双方の支持を同時に取り付けるというのは、非常に稀な現象)ことと、米津が高い音楽性を維持(進化)しながら、アルバムセールスとライブ動員が増加させていることを裏付けるデータのように思えてならないのだ。



活動初期は「不協和音」のアプローチで評価の高かった米津の音楽性は、他者とのアルバム共同制作、そして夏フェス出演やワンマンツアーでのバンドサウンドの熟練を通して、軸はそのままに現在も進化を続けている。



また、多才な彼は音楽以外の話題も提供してくれている。

4月にはUSJ開園15周年企画「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(R)15周年“やり過ぎ”コラボグッズ」で選ばれた6名のなかで唯一のミュージシャンとしてをイラスト提供したほか、明日25日まで開催しているルーヴル美術館特別展「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」へのイラスト提供でもファンを大いに喜ばせた(※Twitterに映画『ズートピア』にインスパイアされて制作、投稿した秀逸なイラストも大きな話題を呼んだ)。



そんな米津の今回の番組出演はTwitterでも「ZIPの特集見た~ 米津さんの歌詞はほんとに素敵。自分のことを上手く曲で表現してる 音楽って濃いなとよくわかった」「今朝米津さん見てなかったら最悪死んでいた。生きてる」「可愛すぎて死んだ」「米津さんトレンド1位だ!!! ZIP最高だった!!! ちょ!もう学校行かなきゃだからな でもすごい良かったありがとうZIP!!!! 」と若い世代を中心に大きな反響を呼んでいる。



ちなみに米津のファンはすでに若年層だけのものではなくなりつつある。スピッツ草野マサムネは、とある日のライブMCで米津の最新アルバム『Bremen』を絶賛し、「同じような曲ができちゃいそうで封印した」と最大級の賛辞を贈っていた。

若者から広がる形で草野や中田のような上の世代の人気ミュージシャンからも支持を集める米津玄師の今後の活動に要注目だ。