「ヤクザと外国人に人権はないと教えられた」 元検事が暴露した驚くべき「新人教育」の実態

2011年5月23日 23時08分 (2011年5月24日 21時39分 更新)

 冤罪事件として知られる佐賀市農協事件に関与した元主任検事が2011年5月23日、東京都内で開かれたシンポジウムに出演し、検察内部の驚くべき新人教育の実態を生々しく語った。「ヤクザと外国人に人権はないと教えられた」「検事が勝手に自白をしゃべって、それを被疑者に署名させるよう指導された」と過去の経験を暴露したうえで、「このような教育を受ける間にそれが当たり前だとなかば思うようになる」と、ゆがんだ教育の恐ろしさを語った。

 古巣を告発する発言をしたのは、元検事の市川寛氏。2000年に発生した佐賀市農協事件に主任検事として関わった際、事情聴取した元組合長に対して「ぶち殺すぞ!この野郎!」と暴言を吐いて自白を強要。元組合長は背任容疑で起訴されたが、自白調書の任意性が否定されて無罪となった。その結果、市川氏は厳重注意処分を受け、検事を辞職することになった。

 この日は、明治大学大学院情報コミュニケーション研究科が主催する「検察、世論、冤罪」と題するシンポジウムにパネリストの一人として登壇。最初に「私は検察官にあってはならない過ちを犯した輩で、幾度もお詫びをしなければならない立場にあることは承知している」と断りながら、「いかにして暴言を吐くような検事ができあがるのかについて、すべて事実として申し上げたい」と衝撃の証言を口にした。

 市川氏は1993年に横浜地検に任官したが、1年目のとき、先輩検事から「ヤクザと外国人に人権はない」と教えられたという。「その先輩が言うには『外国人は日本語が分からないから、日本語であればどんなに罵倒してもいい』ということだった」。さらにその先輩検事は「ある外国人の被疑者を取り調べたときに、千枚通しを被疑者の目の前に突き付け、日本語で罵倒した。こうやって自白させるんだ」と、市川氏に自らの経験を語ったという。

 また3年目には、ある上司が自白調書の取り方を伝授してくれたが、それは検事が勝手にしゃべって調書にしたものを被疑者に突き付けて、署名させるという方法だったという。もし被疑者が署名を拒否したら、どうするのか。「被疑者が抵抗したら『これはお前の調書じゃない。俺の調書だ』と言え、と上司に教えられた」と、市川氏は当時を振り返った。

「このような教育を受ける間にだんだん、それが当たり前だとなかば思いそうになる。そして8年目のとき、自ら絶対にあってはならない暴言をはき、事件が無罪になり、辞職することになった」

 2005年に検事をやめ、現在は弁護士として活動している市川氏。

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