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「福島以外に住んでいる人間がずっと考えていかなくてはいけないこと」がゲームになった

2014年2月13日 11時00分 ライター情報:小野憲史

美術館でゲーム作り! ゲームジャム自体がアートとなった「福島ゲームジャム in 文化庁メディア芸術祭」

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これに対して、メディア芸術祭でエンタテインメント部門の審査員を務め、本イベントでもオブザーバとして参加した飯田氏は「福島県を中心に日本地図ができあがっていく内容は福島GameJam自体を体現している。福島以外に住んでいる自分たちが、ずっと考えていかなくてはいけないこと」とコメント。幾重にもメッセージ性が織り込まれた、すばらしいゲームになったと賞賛しました。

また単一の作品ではなく、ゲーム開発イベントという「モノ作りの仕組み」に顕彰されたことに対して、飯田氏は「近年メディア芸術祭で『古典的なゲーム』の受賞が停滞していたことが背景にあった」と明かしました。これに対して本作のようなユニークなゲームが飛び出してきたことは、あらためてゲームジャムという仕組みの優秀性を証明したと言えるかもしれません。ちなみにチームリーダーは専門学校生で、プロの開発者もまじって企画をサポート。22時間を通して、みな様々な気づきがあったようです。

一方、同じくオブザーバとして参加し、「パックマン」の生みの親として有名な岩谷徹氏は、かつて作ったアーケードゲームの「フォゾン」を思い出したとコメントしました。幾何学的なパーツを組み合わせて、分子構造のような構造体を作るアクションゲームでしたが、題材が地味だったこともあり、「幻の名作」という扱いに・・・。「日本地図のように、もっとわかりやすい題材にすれば良かった」という岩谷氏のコメントは、最大限の賞賛だったと言えるでしょう。

これ以外にも▽鬼を退治するシューティングゲーム「東北喰鬼退魔伝」▽合唱がテーマの音楽ゲーム「福島のMaestro」▽熊に荒らされた特産品を回収するパズルアクション「PicKUMA!」−−の三本が完成しました。いずれも公式サイトでダウンロード配信されていますので、ぜひ遊んでみてください。

ちなみに「福島のMaestro」では民謡「会津磐梯山」を大胆にアレンジし、ボーカロイドに演奏させた楽曲を使用し、「東北のウィーン」を標榜する福島県郡山市をアピール。「東北喰鬼退魔伝」は節分で福豆のかわりに落花生をまく東北の文化を盛り込みました。「PicKUMA!」では開発が迷走し、「明日世界が終わるとすれば、これが遺作で良いのか!」というリーダーの檄を契機に、ラストの8時間でゲーム内容が大きく変化したほどです。

「東北ITコンセプト 福島GameJam」運営事務局の代表で、本イベントも旗振り役をつとめたNPO法人IGDA日本副理事長の中林寿文氏は、成果発表会で「ゲーム開発者が(東北被災地に対して)出来ることは、まだまだいっぱい」と投げかけました。豪雪にも負けず盛り上がったゲーム作りへの情熱に、今後も期待したいところです。
(小野憲史)

ライター情報

小野憲史

主夫ときどきゲームジャーナリスト。趣味でNPO法人IGDA日本代表

URL:Twitter:@kono3478

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