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世の中ツッコミが多すぎる、ボケで行こうよ『一億総ツッコミ時代』

2012年11月20日 11時00分 ライター情報:枡野浩一

『一億総ツッコミ時代』槙田雄司/星海社新書)

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『一億総ツッコミ時代』の著者、
マキタユウジ@makitasports さんへ。



前略。
マキタユウジ@makitasports さん、こんにちは。
歌人の枡野浩一と申します。
ツイッターで少々やりとりをしたことがあるだけで、
直接お目にかかってお話したことはないと思います。
ただ「マキタスポーツ」さんの歌のライブを、
生で拝見したことは何度かあります。
ラジオ番組に出演したとき、リクエストして、
マキタスポーツさんの曲を流してもらったこともあります。

槙田雄司『一億総ツッコミ時代』(星海社新書)、
拝読しました。
ほんとうは出版されてすぐに購入し、
ひと月前には読了していたのです。
感想を書こう書こうと思いながら、
こんなに時間が経ってしまいました。
世の中はいま《ツッコミ過多》で、
《メタ》的な批評家ばかりが目立っているけれど、
あえて《ボケ》の立場を選びとるような、
《ベタ》な生き方をしたほうが面白いよ、
という、
とてもシンプルな主張の書かれた本です。
具体例もふんだんに出てくるし、
難解な本ではけっしてないのに、
感想を書くのは難しいと感じました。
「感想を書く」という自らに課した宿題を、
絶えず意識の隅に重く置きながら、
ほかの本や映画や演劇を色々と鑑賞しました。
たとえばコンビニ本『ALWAYS地獄の三丁目
本当は怖い昭和30年代』(鉄人社)を読むと、
日常生活で「ツッコミ」にまわる人が
今よりは圧倒的に少なかっただろう昭和初期が
必ずしも「天国」ではなかったことを自覚させられます。
そんなことを考えているうちに、
『一億総ツッコミ時代』に書かれているのは
とてもシンプルな主張だけれど、
その主張どおりに生きるのはとてもとても難しいことであり、
それゆえ感想がなかなか書けないのだと気づいてきました。

この本に書かれていることに対して、
異議はほとんどひとつもありませんでした。
つまりこの本にとって、
私はあまりよい読者ではなかったかもしれません。
この本で生きる姿勢が変わりました、
という読者こそが求められているはずですから。
「この本のようなこと、だれかに言ってほしかった」
と、
遠い昔から望んでいた気がします。
むろん優れた文章はおうおうにして、
「言葉にされてみて初めて気づいたけれど、
その前から自分も同じことを考えていた気がする」
と、
読者に錯覚させる文章です。
ですから、その意味で、この本は満点でした。
自分にも書けた、とは、まったく思いませんでした。

ライター情報

枡野浩一

歌人。1968年東京生まれ。小説『ショートソング』(集英社文庫)ほか著書多数。短歌をとりいれた自主映画制作や漫才などにも挑戦中。阿佐ヶ谷「枡野書店」店主。

URL:https://note.mu/masuno

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