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【騒然!「週刊少年マガジン」掲載「聲の形」を読むべし】

2013年2月21日 18時00分 ライター情報:松浦達也

今週の週刊少年マガジンに掲載された読み切り作品『聲の形』(大今良時)がいま、話題騒然

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できれば未読の方は、作品を読んでからこのレビューを読んでほしい。今週の週刊少年マガジンに掲載された読み切り作品『聲の形』(大今良時)のことだ。当時19歳だった作者による、マガジン新人漫画賞最高賞受賞作だが本作は、そのきわどさからどこにも掲載されないまま、数年が経過したという。今回の読み切りのトビラに<「素晴らしい」「でも載せていいのか!?」 編集部に激論を巻き起こした>とあったが、その様子は容易に想像できる。

発売当日、Togetterに「【衝撃作】 週刊少年マガジン(12号)の特別読切「聲の形」(こえのかたち)は必読です。とにかく凄い作品です」
という別冊少年マガジンの班長(@betsumaga)のツイートを中心としたまとめがUPされ、翌日には「求めていたのは和解ではなく拒絶〜普通学校で虐められた聴覚障害者が読んだ聲の形〜」も上がっていた。

テーマは重い。描かれているのは「聴覚障害者を象徴とした、いじめの心理構造」だ。周囲の同級生や教師、学校の対応の描写は「共感/反感」、「同情/嫌悪」など読み手にさまざまな感情をひき起こす。

本作について、友人とFacebookのコメント欄でやりとりをした。そこには「漫画の力」というフレーズがあった。マンガというコミュニケーションだからこそ、強く、遠くまで伝わる思いがある。「好き/嫌い」を超えて、読者に届くボールを繊細に、そして思い切り投げかける。それこそがメディアの役割だとするならば、教室を舞台とした『聲の形』という”問題作”はまさに「少年マンガ誌に載せるべき作品」だった。

別冊少年マガジンの班長(@betsumaga)のツイートには「夕方すぎから「聲の形」へのご批判も出てきて少しほっとしました」というものもあった。一連のツイートのなかで、講談社法務部、弁護士、全日本ろうあ連盟との確認/調整を行ったことを明らかにし、その上で「大今先生の原稿から何も変えていません。そのまま載せることができました」ともつぶやいていた。

『聲の形』は作者をはじめ、関わったすべての人たちが抱いた思いの結晶に違いない。そんな作品を世に出すことは「マンガの矜持」でもある。
(松浦達也)

ライター情報

松浦達也

ライター/編集者にして「食べる・つくる・ひもとく」フードアクティビスト。マンガ大賞選考員。著書に『大人の肉ドリル』、『新しい卵ドリル』(ともにマガジンハウス)など

URL:Twitter:@babakikaku_m

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