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本日テレフォンショッキングで初の競演、タモリと萩本欽一。初対面は「げっ、玄関の前にタモリがいます!」

2014年2月14日 11時00分

ライター情報:近藤正高

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小林信彦・萩本欽一『ふたりの笑(ショウ)タイム 名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏』(集英社)
記事本文でとりあげたテレビ番組「九ちゃん!」には、その後、萩本もコント55号として出演している。ただし、このとき台本を無視してアドリブをしたところ、ディレクターの井原高忠に怒られたという。その後、井原から新番組『ゲバゲバ90分』への出演を依頼された萩本は、先の経験から、「また怒られながらやるのは辛いので、ぼくはやりたくない」と答えたが、井原から「じゃあ、欽ちゃんのことは怒らない」と言われ、それで引き受けることにしたのだとか。「怒らない?」と聞いてしまう若き日の欽ちゃんが、何だかマンガ『ぼのぼの』のシマリスくんみたいでかわいい。

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きょう2月14日放送の「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングのコーナーに萩本欽一がゲスト出演する。番組公式サイトのオンエア情報によれば、タモリと萩本の2人によるトークは初めてらしい。

もっとも2人はまったくの初対面というわけではない。最近刊行された、萩本と作家の小林信彦との対談本『ふたりの笑(ショウ)タイム』(集英社)によれば、タモリはかつて萩本の家からすぐ近くのアパートに住んでいて、いちど萩本宅にやって来たことがあったという。それは本当に唐突だったようだ。ある日、萩本が当時一緒に暮らしていた放送作家集団「パジャマ党」の面々とともに番組用の台本をつくっていたところ、ドアを叩く音がする。そこで作家の一人が玄関まで見に行くと、あわてて戻って来て、「げっ、玄関の前にタモリがいます!」と報告したという。

萩本もびっくりしながら玄関まで出ていき、「な~に、どしたの?」と聞けば、「いや~、近くに住んでるんで、面白そうだからピンポンしたの」とタモリ。「あ、そう。じゃあそんなとこにいないで上がんなよ」と家に上げると、タモリはその後3時間、みんなをさんざん笑わせ、これでは仕事ができないとやむなく帰ってもらったのだとか。

「ちょっとお邪魔します」などとかしこまって入ってくるのではなく、冗談っぽくスルッと入ってきて、当時まだ若かった作家連中を笑わせっぱなしにしたタモリを、萩本は《もうシャレとしては最高!》と褒めちぎる。そもそもタモリのデビューのきっかけは、九州のホテルで山下洋輔らジャズミュージシャンが芸を見せ合っているところへ飛びこんでいったことだったわけで、それを思えば、萩本宅への突然の来訪もいかにも彼らしい。

萩本はまた、タモリ来宅の意図をこう推測してみせる。

《突然だれかのうちに行くっていうのは、自分にないものを吸収しようと思ったり、前進したいからなんじゃないの? もっと成長したいとか、真剣に自分の未来を考えてる人は、積極的に人に会いに行ったり、よそのうちに飛び込んでいくんですよ》

じつは萩本が初めて小林信彦と出会ったシチュエーションが、まさにそのようなものであった。

同じく『ふたりの笑タイム』によると、1960年代後半、歌手・坂本九をメインとした「九ちゃん!」というバラエティ番組に構成作家のひとりとして参加した小林が、ディレクターの井原高忠やほかの作家たちとともにホテルにこもって台本をつくっていたときのこと。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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