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究極の認知症介護メソッド「ユマニチュード」とは

2014年5月23日 10時00分 ライター情報:米光一成
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『精神看護2014年5月号』 ユーザーインターフェイスやユーザーエクスペリエンスなどの問題にも結びつく「他者とどう関わるか?」ということを考えた介護メソッド「ユマニチュード」の特集号。

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浴室で高齢の患者さんが、あらんかぎりの声で叫び続ける。
抵抗している。絶叫している。
看護師は、黙々と彼の身体を清拭している。

ユマニチュードの研修会の冒頭でよく流される映像。
知らない人が見れば暴力的な映像に見えるだろう。
だが、そうではない。
看護師は、シャワーで洗ってあげているだけなのだ。
だが、何かがたりない。

ユマニチュードは、フランスで生み出された高齢者ケアメソッド。
『精神看護2014年5月号』の特集で、紹介されている。
「見つめること」「話しかけること」「触れること」「立つこと」が4つの柱。
150を超える具体的なテクニックと哲学からなる新しい介護方法論だ。

しっかり相手のことを意識していないと「見つめること」ひとつとってもうまくいかない。
横たわったり座っている患者にとって、立っている人の視線は、斜め上からになる。
支配されているような気分にさせてしまう。
視野が狭くなっていればなおさらだ。
しゃがんで、水平に、正面から見つめる必要がある。

部屋にはいるときはノックをする。
しかも、ノックしてすぐに入るのではない。
“まずノックをして、自分が来たことを知らせ、出会いの準備をする。「トントントン!」(3秒待つ)「トントントン!」(3秒待つ)「トン!」”
3秒待つのは、患者さんに情報処理の時間が必要だからだ。
眠っているかもしれないのだ。急に声をかければ、おびえさせてしまう。
出会いの準備をしっかりすることによって、穏やかに関係を作る。

「まず仕事の話はするな」とも言う。
いきなり「身体を拭きに来ました」と声をかけてしまうと、「身体を拭く」という仕事をしに来ただけになる。
「目的のためにかかわるのではない」ことを伝える必要がある。
“「話をしに来ました。そのついでに、よろしければ身体を拭いてもかまいませんか?」というような形でかかわるとよい”。

2人の看護師で清拭するとき、両側から“「はい、こっちの手~、今度はこっちの手~」のようにしてゴシゴシ洗っていく感じ”では、両側から情報が入り、混乱してしまう。
ユマニチュードでは「黒子とマスター」に分かれる。
1人は、ずーっと患者と目を合わせて語りかける。
“「今から私の友達だちが、お背中を拭きますよ~」”というふうに。
もう1人が、ケアに徹する。
情報を一本化して混乱させないようにする。

他にも、具体的なテクニックがいくつか紹介されている。
どれも、言われてみると、あたりまえのことだ。

ライター情報

米光一成

ゲーム作家/ライター/デジタルハリウッド大学客員教授。代表作「ぷよぷよ」「BAROQUE」「想像と言葉」等。

URL:Twitter:@yonemitsu

コメント 1

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    母が認知症なのですがヒントを貰いました、ありがとうございます。

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