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日本酒はワイングラスで飲むとおいしい『白熱日本酒教室』

2014年12月29日 10時50分

ライター情報:近藤正高

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杉村啓『白熱日本酒教室』(星海社新書)
ミニコミの発行、各メディアへの寄稿、また自由大学での講義などを通じて、いまの日本酒の面白さを伝える杉村啓の待望の日本酒本。まずは自分の好みに合った日本酒を見つけられるよう、ラベルの読み方にはじまり、多様な日本酒の種類と違い、さらに楽しみ方まで授業形式でレクチャーしている。

忘年会、新年会とお酒を飲む機会の多いこの時期。これを読まれているなかにも、つい飲み過ぎて悪酔いしてしまった人もきっといることだろう。「むむ教授」こと杉村啓が、日本酒についてその種類から楽しみ方までとことんレクチャーした新刊『白熱日本酒教室』では、悪酔いしない飲み方に関しても1章を割いて解説している。

悪酔いを避けるには、「違う種類のお酒をちゃんぽんにして飲まないようにする」ということがよく言われる。これについては「飲むお酒を変えると気分が変わって、つい飲み過ぎてしまうから」などと説明されてきた。だが、実際のところはどうなのか? 本書によれば、本当の原因は「飲んだ量を把握しにくくなるから」だという。たとえばビールで乾杯して、そのあとに日本酒を飲むとした場合、それぞれアルコール度数も違うので、自分がどれだけお酒を飲んだのか、把握するのはたしかに難しいだろう。

そこで出てくるのが「アルコールの1単位」だ。これは、それぞれのお酒を純アルコール20グラム分を基準に、各お酒の量を把握することである。くわしい計算は本書で確認していただくとして、日本酒でいえば、アルコール量20グラムは、1合分(180ミリリットル)に相当する。これがビールでは中瓶1本分(500ミリリットル)にあたる。だから、乾杯でビールの中瓶1本を空け、さらにそのあとに日本酒を1合飲めば、それで2単位分のお酒を飲んだことになる。

ちなみに体重60キロ前後の日本人の場合、1単位分のアルコールを分解して酔いが覚めるまでに約3時間、2単位ともなると約7時間かかるのだとか。睡眠時間が7時間前後であれば、2単位が翌朝まで酒の残らない「適量」ということになる。著者はここから《お酒になれていない人や、自分の限界がわからない人の場合は、まず2単位分のお酒を飲むことを心がけましょう》と呼びかけている。あわせて、アルコールの分解のためには水をお酒と一緒に飲むことも大切ということなので、ぜひ覚えておきたい。

本書ではもちろん、日本酒の魅力についてもたっぷり語られている。ビールにもウイスキーにもワインにもお酒にはみんなそれぞれ魅力があるわけだけれども、日本酒ならではの魅力とは何だろうか? その一つには、さまざまな温度で楽しめるということがあげられる。

《ホットワインやホットビールのようにスパイスや蜂蜜などを入れたカクテルにするのではなく、焼酎のようにお湯割りにしたりして温度を変えるのではなく、そのままのお酒の温度を変えることでさまざまな味わいを産み出すのは、日本酒ならではの文化です》

その証拠に、日本酒の温度には「燗酒」「冷や」「冷酒」というよく聞く分け方以外にも、たとえば燗酒のうち30度は「日向燗」、35度は「人肌燗」、40度は「ぬる燗」などといった具合に5度間隔で名前がつけられているのだ。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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