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財政再建と女性スキャンダル、そしてヒラリーの夫・ビル・クリントンきょうで70歳

2016年8月19日 10時00分 ライター情報:近藤正高
きょう8月19日は、アメリカ合衆国の第42代の大統領を務めたビル・クリントン(在任期間:1993年1月~2001年1月)の誕生日だ。1946年生まれの彼はちょうど70歳となる。

その1歳下の妻のヒラリー・クリントンは、先月26日に民主党の大統領候補に正式指名され、共和党のドナルド・トランプ候補を相手に、11月の大統領選挙に向けいよいよ本格的な選挙戦に入った。

もし、ヒラリーが大統領に選ばれたのなら、元大統領のビルがファーストレディならぬファーストジェントルマンということになる。大統領時代からすでに20年が経ち、そろそろ歴史上の人物になりかけている彼がふたたび表舞台に出てくるとして、妻に対してどんな貢献をはたすのか、気になるところではある。
西川賢『ビル・クリントン 停滞するアメリカをいかに建て直したか』(中公新書)。帯にはクリントン夫妻の写真。本書によれば、夫の大統領在任中のスキャンダルは、いまなお妻が選挙戦を展開するなかでたびたび批判されるという。夫妻がいかにこれを乗り越えていくのかも注目である

ともあれ、このタイミングでその業績を振り返ってみるのも悪くはない。折しも最近になって中公新書から、政治学者の西川賢(現在、津田塾大学准教授)による評伝『ビル・クリントン 停滞するアメリカをいかに建て直したか』が刊行された。この記事では本書の内容を踏まえながら、その半生をちょっとたどってみたい。

ダメージからの強靭な回復力


クリントンの伝記を読んでいて、まず強く印象に残ったのは、彼がダメージを受けるたび即座に対処し、強靭な回復力(レジリエンス)を示してきたことだ。

たとえば、1978年、32歳にしてアーカンソー州知事に就任したものの、1期目を終えた2年後の知事選に敗れ、下野したときのこと。再起を期して動き始めたクリントンは、テレビCMをつくって州内で流している。そのなかで彼は、選挙戦の敗因とされた知事在任中の政策のひとつ、自動車登録料の値上げについて、それが「州民の気分を害した」ことを認め謝罪しながらも、値上げを決断したこと自体は正しいことだとして、あくまで自らの正当性を主張したのだった。

このCM制作に際して相談を受けたクリントンの選挙参謀は、彼が政策の非をけっして認めず、「謝罪」しなかったことに、「この男は大統領になれる」と確信したという。はたしてこのあと1982年の州知事選で返り咲きを果たしたクリントンは、以後、5期10年を務めて大統領選に臨むことになった。

この間、1988年の大統領選では、民主党全国党大会においてマイケル・デュカキスの大統領候補指名演説を託されたものの、制限時間を大幅に超えて30分以上にわたり長広舌をふるい、うんざりした聴衆からブーイングを浴びせかけられた。このときもクリントンの対処は速かった。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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