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キリンジ、SMAPの作曲家との幸せなコラボ〈坂本真綾インタビュー 後編〉

2011年1月11日 11時00分

坂本真綾
「You can't catch me」FlyingDog/1月12日発売
初回限定盤3570円/通常盤3045円

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たとえば、かの香織が作ったメロディに幻想的な歌詞を乗せた「みずうみ」。

「この曲の詞のスタートは私の夢です。鏡のように波のない水面、湖なのか洪水の後なのか分からない場所に、一人で立っている夢を小さい頃からよく見るんです。世界の始まりのような美しい景色で、かの香織さんのメロディを聴いているうちに、それがパッと頭に浮かびました。それをもとに、そばにいてくれる人から心が離れてしまった自分に気づく主人公を作り出したら、予想外に深い失恋の歌になってしまって。今回は「みずうみ」のように架空の物語として書いた詞が多いんです。詞が自分の思いと直結していた昔と違い、大人になったなぁと思いました」

キリンジの堀込高樹の作曲による「ムーンライト(または“きみが眠るための音楽”)」では、自分より後に生まれた世代に向けて詞を書いたという。

「この曲は私にとってはちょっと新しい雰囲気になりました。気がつけば自分は大人の年齢で、年下の子の話を聞く機会も増えてきて。そんな時に経験を振り返って言えるのは、「どんなことも必ず過去になって、いつか自分の糧になる」ということだったんです。その思いを堀込さんの美しいメロディと、冨田恵一さんのロマンティックなアレンジに乗せてみました」

アルバムのラストを飾るのは、彼女より年下の音楽家・矢吹香那作曲による「トピア」。

「矢吹さんは私より少しだけ若い、SMAPへの楽曲提供などで注目を集める新人作家さんです。彼女が作った優しいメロディを一発で気に入って、欲望や別れを歌ってきた中で1曲くらいはストレートに幸せな曲も歌っておきたいなと(笑)。私の故郷・東京のシンボルであり、今やノスタルジックな存在になりつつある東京タワーを、アルバムのどこかに入れたくて、ここだ!と思って書きました」

「トピア」は愛する人の待つ家に帰る、ささやかな幸せを歌った曲だ。

「恋人がいて、世界を救うような偉大な人ではないけど自分にとっては唯一の救いであり、平和そのものであるということは、私たちが現実に手に入れられる幸せですよね。世の中には矛盾や不条理があって手に入らないものも多いけど、手に届く広さの中で一番美しいものがあるということを、絵空事ではない言葉で歌いたかったんです。10代から20代にかけて自分が理想とする美しい世界をいっぱい書いてきて、その思いはこれからも生き続けるんですけど、30歳の自分の等身大はこっちなのかなと」

武道館で「坂本真綾30歳です」と挨拶してから、まもなく1年になろうとしている。
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