神話や伝説、あるいは史実が、時代や人物の設定をべつのものに置き換えるなどして新たな物語につくり変えられた例はたくさんある。たとえば人形浄瑠璃のために書かれ、のちには歌舞伎でも演じられるようになった『仮名手本忠臣蔵』は、その初演(1748年)の約50年前に起きた赤穂事件を『太平記』の世界や登場人物に置き換えたものだ。映画でも、J.L.ゴダール監督らによる「ゴダールのマリア」は、『新約聖書』に書かれている聖母マリアの処女懐胎を現代の少女に起きたできごととして描いたものだったし、黒澤明監督の「乱」もシェークスピアの戯曲『リア王』を下敷きに舞台を日本の戦国時代に変えていた。
事実や既存の物語を下敷きにしつつ、その設定を変えることでかえって元ネタの持つ普遍性みたいなものが浮かびあがるということもあるだろう。その意味でこの手法は有効だといえる。
先頃放映の始まったテレビアニメ「AKB0048」もまた、実在するアイドルグループであるAKB48をモデルに、ストーリーはSF仕立てながら「芸能って何のためにあるの?」という本質的な問いを突きつける作品だ。ときは「星暦0048年」(いまから50年ほどあとの時代を想定しているとか)、銀河系では一部の地域を除き芸能が禁止された時代。そのなかにあってAKB48は「AKB0048」として復活、かつてのメンバーたちの魂と名前を継承(すなわち襲名)しゲリラ的にコンサートを行ないながら、芸能活動の弾圧に対し闘い続けていた。物語は、そんな彼女たちにあこがれ、同じステージに立つことをめざす少女たちを追う形で進んでゆく。
「AKB0048」の放映開始を記念して4月29日深夜、東京の新宿バルト9でイベントが開催され、その模様は全国各地の劇場にも中継された(ぼくは名古屋の劇場で観た)。そこでは、第1話のディレクターズカット版(オンエア版より5分超)と第2話が上映されたほか、第1話の上映前には原作・総監督の河森正治と声優の神田朱未、能登麻美子、白石涼子が、さらに第2話の上映前には、AKB48グループのなかから声優オーディションで出演が決まった選抜メンバー9人のうち渡辺麻友(園智恵理役)、仲谷明香(藍田織音役)、石田晴香(東雲彼方役)がそれぞれ登壇してトークを行なった(AKB48からは当初、佐藤亜美菜も出演予定だったが体調不良のため欠席)。
イベントではまず河森監督があいさつ。…