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タモリはどう語られてきたか3─呼び出された「いいとも」プロデューサー編

2013年8月19日 11時00分

ライター情報:近藤正高

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タモリを特集した「クイック・ジャパン」vol.41(太田出版、2002年)。本人のインタビューこそないものの、山下洋輔の特別寄稿をはじめ、詳細な年譜などを収録した完全保存版。

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第1回第2回より続く

■“リスペクト・フォー・タモリ”ブーム
2000年前後ぐらいから、ふたたびタモリブームが訪れます。何がきっかけだったのかはよくわかりません。ただ、タモリが自分の趣味を以前にも増しておおっぴらにし始めたのがちょうどこの頃だったようです。2000年末にゲスト出演した「徹子の部屋」では、電車に乗り運転席の後ろから車窓を眺めていたところ、近づいてきた中年男性から「線路、やっぱりお好きですか」と聞かれた……という話を披露しています。21世紀に入ると「タモリ倶楽部」で鉄道をとりあげた回が増え、タモリ=テツというイメージはすっかり世間に定着しました。

同時期には、コージー冨田によるタモリのモノマネが、原口あきまさの明石家さんまのモノマネとセットで人気を集めました。そこで真似された「笑っていいとも!」の「テレフォンショッキング」での「髪切った?」というお決まりのセリフなどは、みんなが薄々感じていたタモリの変さを的確に表現したものだったといえるでしょう。

タモリについてはこのほか、サブカルチャー誌「クイック・ジャパン」のvol.41(2002年3月)で特集が組まれています。こうしたタモリブームを、消しゴム版画家でコラムニストのナンシー関は、《正確に言うと、「リスペクト フォー タモリ」ブームだ。タモリにリスペクトを捧げるのが流行っているのである》と評しました(「噂の真相」2002年3月号)。少し長いですが、引用すると……

《今の「タモリを良しとする」は、かつてモンティ・パイソンの番組に出ていたりした頃から「今夜は最高」あたりまでの「やっぱりさ、タモリっておもしろいよな」というものとはつながっていない。その後、「本気になりさえすれば」というまるでかつての「ジャンボ鶴田最強説」信者みたいなお笑いマニアタモリ派の影も徐々に薄れ、まるで風景のようになってしまったタモリに至るのである。みんなが見ているけれども、誰も見つめてはいないというある意味「テレビタレント」の一つの到達点に至ったと言ってもいいかもしれない。もうタモリは何も期待されていないのである。期待されなくてもいいという所にいたのである》

前回とりあげた、90年代における吉川潮や高田文夫のタモリ批判は、まだどこかに彼に対する期待を残していましたが、ここへ来て「タモリは期待されなくてもいいところに達した」というのです。

ナンシーは「まるで風景のようになってしまったタモリ」とも書いています。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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