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宇宙ヤバイ。絶望の無重力アトラクション「ゼロ・グラビティ」を体験せよ

2013年12月16日 11時00分 ライター情報:とみさわ昭仁

この映画の魅力を最大に味わうためには、まず何はともあれ3D上映での鑑賞が必須。割高の料金を払う価値は十分あります。さらに可能ならIMAX-3Dだとか、Dolby3Dだとか、関東近郊ならスクリーン面積の大きい成田HUMAXシネマズがいいとか、いろいろあるけど、ま、それは各々のこだわりで。
3D映画は字幕を気にしないで済むように吹き替え版がいいというひともいるけど、本作に関してはワタシは字幕版をお勧めします。ゆらゆら動き続ける画面に対して、常にスクリーンの下方に字幕が絶対の水平を維持して存在すると、余計にその差異で酔いが深まるんですよ。……って、酔うのかよ! でも、酔わない酒なんて飲んだってつまらないでしょ。

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宇宙空間には、人間の呼吸に必要な酸素がない。そもそも空気自体がない。空気がないのだから気圧もない。音も伝わらない。太陽が地球の裏側へ隠れてしまえば、一切の光もない。

そのかわり、大量のスペースデブリがある。

スペースデブリとは、地球の衛星軌道上を漂う宇宙ゴミのことだ。1957年にソビエト連邦がスプートニク1号を打ち上げて以来、人類はおよそ5400機もの人工衛星を宇宙に送り出してきた。そのうち現在でも運用されている衛星は2000機ほどで、耐用年数を過ぎたり故障などで使用に耐えなくなった3400機は、ゴミとなって軌道上を漂っている。2007年に中国が不要となった気象衛星をミサイルで破壊し、無数の破片を拡散させてスペースデブリ問題を一層深刻化させたのは記憶に新しい。

アルフォンソ・キュアロン監督の新作『ゼロ・グラビティ』は、そんなスペースデブリが事件を引き起こすところからはじまる。

ライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)とマット・コワルスキー宇宙飛行士(ジョージ・クルーニー)は、地球の上空60万メートルに浮かぶISS(国際宇宙ステーション)にスペースシャトルを停泊させ、船外活動に従事していた。故障したデータ通信システムの原因を探るためだ。

あと少しで作業が終了するというそのとき、ヒューストンから「大至急作業を終えて地球へ帰還しろ」との通信が入る。他国が破壊した衛星の破片が別の衛星に衝突して新たな破片を生み、大量のデブリ群となってライアン博士らのいる位置へ向かっているというのだ。

デブリ群は連鎖的にいくつもの衛星を破壊しながら突き進む。そのせいで通信障害が起こり、ヒューストンからの連絡も途絶えてしまう。

やがて無数の破片がシャトルの上に降り注ぐ。一緒に船外作業をしていたクルーの一人は、飛来した破片の直撃を頭部に受けて即死した。ライアンは回転する作業アームに振り飛ばされ、真っ暗な宇宙空間に放り出されてしまう。はぐれてしまったマットとは、かろうじて無線で通話ができるだけだ。

ライアンが自力でシャトルに戻る手段はない。現在位置すらわからない。宇宙服に残された酸素は10パーセントを切っている。たとえ戻れても、シャトルはデブリ群の直撃を受けて使い物にならない。はたして彼女はライアンと再会できるのか、無事に地球へ帰れるのか──。

監督の前作『トゥモロー・ワールド』は、2027年の未来を舞台にして人類の絶望と希望を描いたSF映画の傑作だった。

ライター情報

とみさわ昭仁

1961年生まれ。ゲーム開発、映画評論、コレクター研究、古本屋店主、スカジャン制作、DJなど。神保町特殊古書店マニタ書房は、不定休で週のうち半分くらい営業。

URL:akihito tomisawa index

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