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アキとユイの未来と北三陸鉄道のその先。今だから解く「あまちゃん」のメッセージ

2014年3月11日 10時00分 ライター情報:与儀明子

『今日の「あまちゃん」から』細馬宏通/河出書房新社
〈本書では「あまちゃん」から、今日の層を掘り、その場面の会話に影響を与えていることを採り出し、磨いて、テーブルの上に並べる、ということを繰り返しました。〉
細馬宏通が奇数月にアニメーション、偶数月にあまちゃんを扱うトークイベント「ミッキーとあまちゃんvol.4」は2014年2月28日に恵文社一乗寺店COTAGEにて行われた。
テーマは「ミズタク。そして紅白の157回」。

[拡大写真]

「あまちゃん」を掘り下げる連続トークイベント「ミッキーとあまちゃん vol.4」を聴きに、京都まで行ってきた。
語り手は、日常会話における身体動作が専門の滋賀県立大学教授・細馬宏通さん。

「あまちゃん」はここまで掘れる!

あの事に気づいたのは細馬さんが初めて。
驚きました」井上剛(NHKディレクター・「あまちゃん」チーフ演出)”

昨年12月に出た細馬宏通著『今日の「あまちゃん」から』の帯文だ。

“あの事”とは、ヒロインのアキ(能年玲奈)が海に飛び込むときに、停止線のSTOPの文字が、わざとかすれてSTEPにも読めるようにしてあったこと。
ディレクターがデザイナーに指示したことが、本書の細馬×井上対談で明らかにされている。

『今日の「あまちゃん」から』が他のあまちゃん関連本と違うのは、他の作品との比較、モデルとなった場所、コネタなどの周辺情報に触れず、音や人物の動き、カメラワークなど、「見て、目に映るもの、聞こえるもの」に特化して分析しているところだ。

今回のイベントでは、脚本に書かれていない部分にスポットを当て、水口琢磨(松田龍平)の登場シーンと紅白が解説された。

例えば第93回。

アイドルを目指して上京したものの、失意のうちに北三陸に戻り、引きこもるアキ。彼女は東京から駆けつけたマネージャーの水口に請われ、留守電を水口本人の前で聞く。

「ここ数日、君のことを考えてる」

カメラがアキの表情を映しても、水口の声は電話ボイスに切り替わらない。肉声のままだ。なぜか。

「僕はずっとユイちゃん派というか、ユイちゃんをセンターに抜擢しようとして来た。でも、そ」(ピー)。
アキは怪訝な顔で視線を動かす。
「そんな、見るなよ」水口は顔をそらす。

つまり、言いかけて留守電が切れた「そ」の続きを、眼前の水口が別のセリフとして作りかえて口にする。
ぼくらは留守電を吹き込んでる水口とこの水口が、地続きになってるかのような気分になるわけです、と細馬さんは語る。

2人が見つめ合うなか、水口の肉声は続く。
「そんな逆風のなかで君は4ヶ月かけて自分の位置を獲得した」
「訛ってるけど、40位だけど、最下位だけど」(ピー)「それがどうした! 水口です。それがどうした! 誰が何と言おうと、君の代わりは君しかいないんだよ」

水口がアイドルグループの仲間達に電話を替わると、声は電話ボイスに切り替わる。水口だけが特別扱いだ。ところが、アキと喧嘩中のユイ(橋本愛)がやってきて、アキは作業小屋に立てこもってしまう。
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