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「DOCUMENTARY of AKB48」どんなアイドルもファンなしにはありえない

2014年7月8日 09時00分

ライター情報:近藤正高

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映画「DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う」パンフレット
昨年大晦日の紅白歌合戦で突然卒業を発表した大島優子が、6月にグループを去るまでの過程を軸に、研究生やドラフト生など新人たちがグループに溶け込もうとする様子などを通して、絶えず変わり続けるAKB48の姿を伝える。

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「AKB48は簡単な場所じゃありません」
去る6月に行なわれた「AKB48選抜総選挙」で2位になった指原莉乃(HKT48)が、その開票イベントでのあいさつのなかで口にした言葉だ。AKB48のことを、組織などといった言葉ではなく「場所」と表現しているのが興味深い。実際に在籍する彼女たちにとって、活動をともにするメンバーが絶えず入れ替わり続けるAKB48は、やはり場所以外の何物でもないのだろう。そんなことを、先週末に全国で上映の始まった映画「DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う」を観て、あらためて思った。

「DOCUMENTARY of AKB48」は2011年以来シリーズ化され、毎年1作のペースで公開されてきた。高橋栄樹監督にとっては、これが同シリーズ3作目にあたる。高橋が初めてメガホンをとった2012年版では、前年の震災直後のグループの動向のほか、まるで戦場のようなコンサートの舞台裏を描いて波紋を呼んだ。続く2013年版では、恋愛問題などさまざまな理由からグループを離れたメンバーにもスポットを当てたことが特筆される。さて、今年はどんな切り口となるのか? 高橋は《過去2作品で良くも悪くもフォーマットができすぎてしまったという反省もあり、今回は違うやり方でアプローチしないといけないなとは思いました》と本作のパンフレット所収のインタビューで語っている。

高橋の言葉どおり、本作はシリーズのこれまでの作品とは趣きがだいぶ異なる。従来の「DOCUMENTARY of AKB48」が1年間を振り返る形になっていたのに対して、今回とりあげられるのは、昨年11月の「AKB48グループ・ドラフト会議」から、まだ記憶も新しい6月の選抜総選挙および大島優子の卒業セレモニーまでの実質半年間と短くなった。ファンとしては、昨年6月の日本武道館でのAKB48グループの研究生コンサート、さらに夏の5大ドームツアー、そのなかで行なわれた篠田麻里子・秋元才加・板野友美の各卒業セレモニーなど、ほかにも入れてほしかった映像はもちろんある。だが、それらはDVDにもなっていて見られるわけだし、あんまりあれこれ詰めこんでも、テーマがぼやけてしまったことだろう。あくまで現在進行形ということにこだわった監督の判断は賢明だったと思う。

コンサートなど大きなイベントとあわせて、その舞台裏や練習中でのメンバーたちのさりげない光景を収めるのは前作までと変わらないが、今回はとくに後者に印象深いシーンが多かった。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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