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今夜金曜ロードSHOW「サマーウォーズ」をつくった細田守はずるい

2015年7月3日 10時30分 ライター情報:たまごまご

田舎の大家族が抱える、相談不足によるストレス


『サマーウォーズ』の監督、細田守はちょっとだけずるいと思う。
「田舎の大家族」を賛美し、いい話に見せるのがうまいからだ。
しかし、監督は「田舎の大家族」のこと、本当に好きなんだろうか?
陣内家の旗をかかげ、勇ましい夏希先輩マジかっこいいかわいい。でも彼女の映画ではありません。


この映画を見るたびに苛立つシーンがある。
スーパーコンピューターを冷却していた氷を、おばあちゃんを冷やしたいと警官の男が移動させたことで、作戦が台無しになる場面だ。
人情がやらかした行動だ。だが「外側」の人間として見ている視聴者からしたら、全く笑えない。
なぜ、一言相談がないのか。
子どもたちが操作を邪魔したことで、キングカズマがラブマシーンにKOされたシーンも、我慢できない。

陣内家の家風は、男は戦え、女は家を守れ、という思想がとても強い。
性差による仕事分担がものすごくはっきりしている。
特に、嫁入りした女性たちは、本家に気を使いながら、でかい屋敷の家事全部背負わないといけない。

船の持ち込みや、スーパーコンピューターのシーン。絵的には、これから何が起こるのかとワクワクする場面だ。
しかし家を守る女達がリアルに描かれちゃった分、見ていて気が気ではない。
畳がいくつだめになったことか。フォークリフトをぶつけた渡り廊下の傷に背筋が凍る。
嫁さんたちの胃は、クライシスだ。
サマーウォーズを田舎の大家族の嫁の視点で観たら - Togetterまとめ

栄ばあちゃんの手紙を読んで、皆が一度話し合わなかったらと考えるとゾッとする。
たった一言の、状況説明と相談が圧倒的に足りない。
男が一人でも家事を手伝い、女が一人でもOZの戦いに参戦していれば、全く違う映画になったはずだ。

濃すぎる人間関係


この映画は「生身のつながりが大事だ」「家族がいて嬉しい」という、栄おばあちゃんの思想が前面に押し出されている。
侘助という嫌われてしまった、孤独なはぐれものにとって、まさに救いの言葉。
外側から来た健二や、引きこもっていた佳主馬にも、強く染みるだろう。

とはいえ、彼らは陣内家と接点がそれほど深くない。
健二はこれから都会に戻る。
佳主馬は格闘の師匠のおじさんと、出産間近の妹と、母親くらいしかつながりがない。
彼らに感情移入できれば、ほどほどに心地よい。他の人間と関わらなくていいから。

一方、陣内家に密着している側は大変だ。
嫁入りしたショートカットの奥さんは、一切台所から出してもらえていない。

「次男坊って本当に役に立たないわね」「なんでこんな時によそんちの心配までしなきゃなんないわけ?」
独特のルールが流れる、殻に閉ざされた「陣内家」という小さな世界。

ライター情報

たまごまご

フリーライター。「ねとらぼ」「このマンガがすごい!WEB」などで執筆中。ひたすらに、様々な女の子の出てくるマンガを収集し続けています。

URL:たまごまごごはん

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