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売れないという残酷。芸人が描く話題のドキュメントマンガ『芸人生活』

2015年8月11日 10時50分

ライター情報:杉江松恋

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芸歴20周年、誇れる賞歴はまだ無し。2013年の「キングオブコント」では準決勝まで進出したが敗退し、再び頂点を目指して修行中。
そんな芸人が自身の生活のことを描いた漫画が、今じわじわと売れている。この4月に彩図社から刊行された『芸人生活』がそれだ。作者の井上二郎は野田航裕とチャーミングというコンビを組んでいるコント芸人である。
本を読んで興味を持ち、井上に話を聞くべく新宿で待ち合わせた。時間通りに待ち合わせ場所のシアター・モリエール前に行った。以前に公演をやったことがある、思い出の場所を、とお願いしたらそこを指定されたのだ。
だが、それらしき人は周囲にいない。おかしいな、と思いながら周囲を見渡すと、向こうのほうからスーツ姿の真面目そうな人が。
……それが、井上二郎だった。

うわっ、気付かなくてごめんなさい。当たり前ですけど、漫画と同じ顔ですね。
まずはモリエール前で記念撮影である。

『芸人生活』井上二郎 /彩図社

『芸人生活』は嫁に見せるために描いた


──売れない、と言ったらご本人を前に大変失礼なんですが、下積み芸人の現実を、悲観的になりすぎることなく描いたドキュメンタリー漫画として『芸人生活』を楽しく読みました。居酒屋で開いた結婚式とか、井上さんの私生活が結構公開されているのもおもしろかったです。
井上 これ、描いた順番と収録順が違ってるんですが、最初に描いたのは、今の相方の前に組んでいたヤマカワくんの話でした(第23話「解散」)。もともと嫁が「ヤマカワくんの話描いたら」と言ったところから『芸人生活』は始まったんです。彼女の「こういうの読みたい」とリクエストを受けて描いていた感じだったんですよ。そのうちに後輩芸人にも見せて、ネットにアップするようになって、徐々にみんな見てくれだしたという。
──noteで連載しておられましが、元はアメブロに発表していたんですよね。
井上 ペースも半年に1話ぐらいだったんですけど、同じ事務所のキャプテン渡辺さんに「この漫画おもしろいから仕事になるよ」と言っていただいて定期的にやりだしたんです。そうしたら、そのペースにしてから3ヶ月くらいで彩図社さんから話が来ました。
──作中には奥さんとの馴れ初めも描かれています。同じバイト先で井上さんがいじめられていたら、彼女が助けてくれたという。そんな優しい女性だけどパンクバンドもやっているというギャップがいいですね。
井上 実は嫁とのキスシーンも描いてたんですけど、嫁にばれてしまったんですね。

ライター情報

杉江松恋

1968年生まれ。小説書評と東方Projectに命を賭けるフリーライター。あちこちに連載しています。

URL:Twitter:@from41tohomania

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