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「火村英生の推理」6話。取調室でパフェはありか

2016年2月28日 10時00分 ライター情報:杉江松恋
そういえば、「臨床犯罪学者 火村英生の推理」の長谷川京子はいつもニヤニヤしている。カルト教団の指導者ということで「不気味さ」を醸し出す必要があるからなのだろうか。それにしてもたいしたニヤニヤぶりである
あそこまでニヤニヤしている人を見ることは日常ではあまりないので、画面に出てくるといつも口元に注目してしまうのであった。

という個人的なこだわりは措いて、と。
好評放送中の「臨床犯罪学者 火村英生の推理」は先週で第6回を迎えた。原作に初めて長篇『朱色の研究』が使われたのは折り返し点を意識したものか。本日放送される第7回とで前後編になる。序盤から仕込まれていた伏線が、ここである程度回収されるのだろう。

コメディタッチが奏効


前後編で犯人探しをしなければならない事情があるためか容疑者も多く、その分ステロタイプな人物描写、台詞回しが目立ったように思う。ドラマが物語を成立するために設定を操作し、現実のそれとは合わなくなることがある。物語内のリアリティが成立していれば問題なく、些細な違いを言い立てても仕方ない(たとえばカルト集団の指導者である諸星沙奈江を取り調べるのはどう考えても公安警察で、刑事警察の鍋島が触れることはできないはずだ。しかしそれを言い出すと火村と諸星の接触もできなくなってしまう)。
ただ、ドラマが陳腐化するとそれが粗として目立ってきてしまうので、ちょっと心配なのである。今回もDNA鑑定の結果がやたらとすぐ出るな、とか随所で気になることがあったので老婆心ながら書いておく次第。

今回目立ったのが、火村が「この犯罪は美しくない」と言いかけたところを坂下刑事が「わかった!」と叫んで邪魔をしたり、取調室でなぜか鍋島刑事がパフェを食べていたり、というようなギャグ演出だ。唐突に思われた方がいるかもしれないが、原作にもある箇所なので別にドラマの無理な改変ではない。坂下刑事の急な活躍に関しては、その後に続くトリック解明場面に無理なくつながり、わかりやすく描くのに貢献もしていた。巧い演出である。

それ以外にも今クールのドラマの登場人物がカメオ出演していたり、謎解きの手がかりとなる看板に書かれている店名が「ヒガンバナ」になっていたり、と遊び心の目立った回であった。TVドラマならではの楽しい趣向である。

描かれなかった通天閣


原作の『朱色の研究』は、大阪の都市景観が重要な意味を持つ作品でもある。随所にアリスの眼から見た街の風景が描き込まれているのだ。

ライター情報

杉江松恋

1968年生まれ。小説書評と東方Projectに命を賭けるフリーライター。あちこちに連載しています。

URL:Twitter:@from41tohomania

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