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「ええ人生やった」惣兵衛死す「あさが来た」149話

2016年3月26日 09時50分 ライター情報:木俣冬
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朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)3月25日(金)放送。第25週「誇り高き人生」第149話より。原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:尾崎裕和
イラスト/小西りえこ

149話はこんな話


惣兵衛(柄本佑)が静かに息を引き取った。

どんどん人が亡くなっていく


「ええ人生やった」と聞いて、「ワンピース」のヒルルクとさだまさしの「関白宣言」、どっちを思い出しますか?
いや、そんなこと言ってる場合ではない。はつ(宮崎あおい/崎の大は立)ではないが、こんな時に笑われしまへん。
はつとの最初の出会いから、じつはひとめ惚れだったと、新次郎(玉木宏)にこっそり告白していた惣兵衛。それをあさ(波瑠)が聞き、はつへと伝える。
新次郎がひとりで和歌山に行った理由は、このためだったのか、と脚本上の理由を考えるのは野暮と思いつつ、念のため。それが朝ドラレビュー。

ある時から、はつへの愛情をはっきり見せるようになった惣兵衛だったが、出会いの話は心に秘めたままだったというのが、不器用で愛おしさがいっそう募るけれど、それだけの愛情を知った時、もう夫はこの世にいない時の妻の嬉しさとやりきれなさがないまぜになった感情は、もはや名人芸の域。

はつ、あさと並んで、こんなに小さかったっけ? とはじめて思うほど、ふたりの座高に差がある。それによって、はつが弱っているのがよくわかる。

あさは仕事がノリに乗っている現役なのでなんだか大きく見える。
老いとか弱さとかの演技について考えた時、柄本佑は見た目も声もかなり若々しいままだった。だが、無理して老いたり、弱ったり見せることで嘘になるくらいなら、気持ちだけで勝負しようとしたのか。「ようよう弱いとこ見せてくれましたがな」と最後にはつと語り合う場面は、はつと惣兵衛がほんとうに長い人生を伴走してきた者同士に見えた。こんないい別れの場面を見せられたら、あとに続く、新次郎とあさはどうなるんだろう。死の別れがくると勝手に思い込んでいるだけだが、ここのところたくさん人が亡くなる「あさが来た」。成澤(瀬戸康史)の大切な人までいつの間にか亡くなっていた事が語られる。生と死についていい話を新次郎にする時の説得力のためなのだろうが、必要だったのか? というツッコミはおいといて。前作「まれ」では全く亡くなる人がいなかったのとえらい差だ。この喪失感、辛過ぎる。
(木俣冬)

木俣冬の日刊「あさが来た」レビューまとめ読みはこちらから

ライター情報

木俣冬

著書『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、『ケイゾク、SPEC、カイドク』、ノベライズ『リッチマン、プアウーマン』『デート~恋とはどんなものかしら~』

URL:Twitter:@kamitonami

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