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綾野剛がとことんゲスな『日本で一番悪い奴ら』白石和彌監督に聞く

2016年6月25日 10時00分 ライター情報:木俣冬
ものすごく不謹慎な映画。でも楽しい。
『日本で一番悪い奴ら』は、実際に北海道警察で起った不祥事(稲葉事件)を元にした映画。柔道一直線だった若き刑事・諸星要一(綾野剛)は捜査のために裏社会と繋がることで、華々しい手柄を挙げていくが、同時に裏社会との関係も深く濃くなっていく。
「正義の味方、悪を断つ」という信念に基づいた行為が、傍から見たら悪行そのもの。覚せい剤や拳銃、金、権力、女にまみれていく諸星。激しい速度と熱を伴いながら犯罪に反転していく彼なりの正義を、不思議にまぶしく撮った監督は、同じく実際にあった事件をもとにした『凶悪』で注目された白石和彌。『凶悪』とはまた違ったタイプの、もうひとつのピカレスクが生まれた顛末を聞いた。
諸星刑事(綾野剛)とスパイたちの青春ストーリー
『日本で一番悪い奴ら』
2016年6月25日[土]全国ロードショー
(C)2016「日本で一番悪い奴ら」製作委員会
配給: 日活
公式HP: nichiwaru.com

──すごく面白かったです、この映画は原作のまんまなんですか?
白石 ほぼほぼまんまですね。ただ、拳銃と覚せい剤を密輸するくだりを若干脚色したのと、女性関係に関してはほぼ想像で描きました。
──女性関係は想像ですか。映画の主人公・諸星は女性にモテていますが、モデルになった稲葉圭昭さんはどうなんですか?
白石 バツ2で、捕まった時には8人くらい彼女がいたそうです。
──実物もモテていたんですね!
白石 そのうちふたりが婦警、みたいな。
──婦警のエピソードは脚本に少し盛り込んであるわけですね。稲葉さんって面白いですね。彼のことを書いた本が読んでみたくなります。
白石 S(捜査における協力者、スパイ)の結婚式に出席するエピソードも実話で、そこにはヤクザもSも道警の関係者もそろっていて、みんなで撮ったポラロイド写真も残っているんですよ。そこに「結婚おめでとう。末永く幸せに。またよろしくね、チャカ」って書いてあるんです。おかしいですよね(笑)。
──不謹慎な(笑)。
白石 不謹慎な(笑)。
──警察とヤクザの交流の証拠を残す写真を写していいのか、と映画を見ながら思っていました。
白石 悪いことをしている感覚がないんですよ。
──そうなんですか。
白石 それが正しいと思ってやっていたわけですから。
──ああ、それがプレスシートの監督インタビューにあった「諸星は組織から逸脱してないですよね。組織が逸脱しているから〈悪い奴ら〉なんですよ」ということですか。
白石 そうですね。
──そこが響きました。正義の組織が悪いことをしていて、その組織のために働いている人間が悪いことを悪いと思わず行ってしまう皮肉を感じて。

ライター情報

木俣冬

著書『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、『ケイゾク、SPEC、カイドク』、ノベライズ『リッチマン、プアウーマン』『デート~恋とはどんなものかしら~』

URL:Twitter:@kamitonami

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