週刊少年ジャンプで連載中の原作・附田祐斗、作画・佐伯俊のコンビによる人気マンガの第2シリーズ「食戟のソーマ弐ノ皿」の第7話が放送された。とうとうあの佐治さんに超強力なライバルが現れたぞ。

「二粒…いや、塩が…三粒です」特殊能力“絶対味覚”「食戟のソーマ弐ノ皿」7話

二粒・・・いや、塩が・・・三粒です

料理漫画界の巨匠・寺沢大介先生の作品「将太の寿司」。これはその登場人物である佐治安人(さじあんと。しかし、なぜか“ヤス”と呼ばれる事もあり、作者の中でも定まっていないんじゃないかと噂になった)のセリフだ。

薄暗い寺の一室で正座して待つ佐治。そこに一人の坊主が現れ、一杯のおかゆを眼の前に差し出す。それを一口食べた佐治は「二粒・・・いや、塩が・・・三粒です」なんと使用されている塩の量を言い当ててしまったのだ。
この特殊能力を人は“絶対味覚”と呼ぶ。

古今東西グルメマンガには舌自慢のキャラクター達が数多く存在する。だが、これほどまでにハッキリと己の味覚の繊細さをアピールする事が出来た人物を他にいただろうか?

「食戟のソーマ弐ノ皿」第7話“喰らいあう獣”。その人物は現れた。遠月学園高等部一年、葉山リョウ。インドのスラム出身、国籍は不明だ。


こちらも薄暗い部屋。葉山はパイプイスに座り後ろ手を縛られ、眼には目隠しがされていた。「その皿、ターメリック、ピンクペッパー、クミン、コリアンダー…」およそ1m離れた三枚の皿に置かれた14種類のスパイスを全て嗅覚だけで言い当てたのだ。しかも皿の位置、スパイスが置かれた順番も全て正解。佐治の“絶対味覚”に対して、これは“絶対嗅覚”と呼んでも良いだろう。

葉山は料理の最中鍋の中を一切見ない。
なぜならば、匂いさえ嗅げば鍋の中の状況を全て把握できるからだ。それとは逆に、数十人で一斉にカレー料理を作っている中でも、周りの人間に葉山が作るカレーの香りを嗅ぎ分けさせる事も出来る。もはや無敵だ。

それでも佐治さんの勝ち!


しかし、佐治の実力もそんなものではない。絶対味覚に加え、主人公である関口将太の必殺技“魚の声を聞く”をあっさりコピーしてしまう。さらに将太との勝負の最中に覚醒し、“絶対五感” を手に入れたのだ。絶対味覚だけではなく、視覚、触覚、嗅覚、さらには聴覚までも“絶対”と呼べるものにしてしまった。
さすがの葉山も最強の寿司職人佐治安人にはまだまだ及ばなそうだ。

今話は秋の選抜本戦準決勝第二戦。勝った方が創真の相手


秋の選抜本戦準決勝第二戦、対決テーマは“洋食のメインの一品”。葉山アキラの相手は、薙切アリスいわく論理だけでは計れない料理を作る黒木場リョウ。どちらも国籍不明の孤児というまさかのキャラ被り対決だ。

「この鼻があればお前に負ける方が難しい」葉山のキャラクター性が詰まったこのセリフを言い放ち、作り始めたのは “鴨のアピシウス風”
鴨肉の皮目でハチミツをあえて焦がし、カラメル化させる。仕上げに葉山の得意なスパイスをふんだんに使用した香り高い一品だ。

対する黒木場が作ったのは鰻のマトロート 。鰻を赤ワインと数種類の香草で煮込んだフランス料理だ。黒木場は鰻に網脂を巻いてコクをプラス。そこにマッシュポテトとフランスパンの一種であるブリオッシュを添える。
さらに鰻の中にプラムを仕込んで酸味を加え、味の爆発力を生んだ。

どちらも歴代十席である審査員達の評価は高い。結果はどうなったのだろうか?

ドラゴンフィッシュブローが炸裂!


この秋の選抜本戦、こう言ってしまってはなんだが始まる前から結果がわかりきっている試合が多かった。

一戦目 ○幸平創真VS薙切アリス×

一年生最強と言われるアリスだが、さすがに主人公が第1話目から負けるわけがない。

二戦目 ○黒木場リョウVS田所恵×

アリスと互角とされる黒木場がここで負けたら「こいつらなんだったんだよ」ってなる。さらにアリスが負けたのも黒木場が勝つ布石。もっと言うと田所ちゃんはここらで負けとかないとキャラがブレる。

三戦目 ○葉山リョウVS新戸緋沙子×

予選で創真と決着が付かなかったという描写のある葉山がここで負けるわけがない。これで負けてたら大会前から積み上げた“新たなライバル登場”感も無駄になってしまう。

四戦目 ○美作昴VSタクミ・アルディーニ×

主人公の元々のライバルが、主人公と当たる前にやられるのは少年マンガの定石。また、新たな敵の強さを示す噛ませ犬役にも残念ながら最適。

五戦目 ○幸平創真VS美作昴×

一回戦で負けるよりも、準決勝で負ける主人公は少ないだろう。また、決勝戦で美作がまた誰かのコピーをするのはあまりにも作品として変化がない。

では、この葉山VS黒木場はどうなのだろう?当然、創真のライバル葉山の勝ちだろう。黒木場は十分に強さを見せることが出来たし、創真との関係性も特に見当たらない。

しかし、結果は予想を裏切る。しかも、黒木場の勝利という裏切り方ではない。どちらも実力は拮抗。「二人とも上げてしまえばいい」審査委員長・堂島銀の一言で、三つ巴の決勝戦が決まったのだ。

野球や格闘技ではこうはいかない。グルメ物だから出来る三つ巴決戦。ベタ、ベタ、ベタ、ベタ、ベタと来て、急に斜め上の展開。これは完全に予想外だ。物語構成のドラゴンフィッシュブローが完璧に決まった。(はじめの一歩の木村達也の必殺技。何十分もボディを狙い続けて、急に顔面を殴る)

ドラゴンフィッシュブローが決まるともうこっちはパニックだ。どうせ優勝は創真だと思っていたのに、誰が勝つのか予想がつかない。例えベタに創真が優勝したとしてもそれを新鮮に感じることが出来る。こういうのがたまにあるから「食戟のソーマ」は子供から大人まで楽しめるのだと思う。

決勝戦のお題は秋刀魚。創真が得意とする庶民料理の代表であり、黒木場の武器の海産物、そして葉山の鼻が活きる香り高い食材だ。さて、来週はどうなってしまうのだろうか?
(沢野奈津夫)