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「聲の形」山田尚子監督に聞く。気をつかったり同情したり、何なら可哀想だと思ったりするのは大間違いだ

2016年9月16日 10時00分 ライター情報:丸本大輔
一見、可愛らしい感じで、いつも微笑んでいて天使みたいな子なのかなと思われがちですけど。彼女の行動を一個ずつ紐解いてみたら、自分の本能にすごく忠実に動いているんです。ダイナミックだし、すごく負けず嫌いだとも思います。そのあたりは少し羨ましいなと、憧れる気持ちもあります。原作者の大今先生からは、周りのことをすごく気にして、自分はこうあるべきだということをすごく考える子だとお聞きしたのですが、それにプラスして本能で動く部分もあると思うんですよね。その両極端さがすごく魅力的で惹かれました。
将也と同じクラスに転校してきた硝子は、なかなかクラスに馴染むことができなかった。唯一、硝子と仲良くなるために手話を覚えようとしてくれた佐原みよこも不登校になってしまう

将也と硝子は、太陽と月みたいな関係性


──硝子にはセリフがほとんど無いわけですが、キャラクターを描いていく上での難しさなどはなかったのですか?
山田 どうなんでしょう……。アニメって伝えるための手段の塊で。そのすべてが一つ一つのパーツとして分解できると思うんですよ。動き、色、カット割りとか。その中に声もあるのですが、私はそのどれもが同列のものだと思っているので。声という要素が無いからといって、伝えるという部分が揺らぐとは思っていませんでした。
──声というパーツが無いなら、その代わりに他のパーツの領域を広げていけば良いといった感覚ですか?
山田 はい、そういう感じで組み立てていきました。あ、でも硝子を演じてくださった早見(沙織)さんは大変だったと思います。芝居の引き出しはすごく必要だったはず。それに、アニメーターもかなり役者になった気持ちで描かなければ、硝子は描けなかったと思います。
──将也と硝子の関係性を描く際には、どのようなことを意識しましたか?
山田 将也と硝子は似て非なるものというか。すごく近いけど、ギリギリで違うみたいなイメージがあって。影があることで、光が見えてくるとか、そういった対になるものとして考えていきました。描き方でも、そういうところは意識しましたね。とはいえ、作品自体は将也の物語ではあるので、本当に対の形で物語を進めていくわけではないんですけど。太陽があったら月があるみたいな関係性というか……。
──どちらがずっと太陽で、どちらかがずっと月ということでもなく、入れ替わりながら?
山田 はい。どちらかがどちらかを浮き上がらせるみたいな形で描きながら、二人のことを紐解いていければ良いなと思いながら、作りました。
(丸本大輔)

(後編に続く)

ライター情報

丸本大輔

1974年生まれ。フリーライター。瀬戸内海で生まれ育ち、現在は東京の西側在住。インタビューを中心に活動。得意ジャンルは、アニメ、マンガ、サッカーなど。

URL:Twitter:@maru_working

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