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映画「聲の形」監督に聞く「開けたくない扉を開けてしまった感じでした」

2016年9月18日 10時00分 ライター情報:丸本大輔
これを取り逃してしまったら、原作のファンの皆さんをガッカリさせてしまうと思って、すごく考えました。結果、それが上手く行ってるかどうかは、まだ自分では分からないですけど……。
──結絃と永束がベランダから将也と硝子のことを覗いている時、永束が「落ちるなよ、少年」と優しさを見せるシーンや、遊園地でジェットコースターに乗った時、小学生時代の同級生・佐原みよこが泣きながらも両手を上げているシーンは、原作に無かったり、アレンジされたりしていると思います。限られた尺の中で、各キャラクターの個性を見せていくための工夫なのかと思ったのですが。
山田 原作と映画の架け橋になるようなところを探しては、そういうささやかなところでもキャラクターを描いていければとは思っていました。
──制作中から、原作ファンが観た時、どう見えるだろうかということへの意識も強かったのですか?
山田 とても強かったです。ファンの人たちから、得体の知れない人に触られて、自分たちの『聲の形』が違うものになったと思われたら辛いし。でも、(尺の関係で)いっぱい削らなきゃいけないし……。
──全7巻分の内容をすべて入れることは、絶対に不可能ですからね。
山田 何を削って何を残すかのバランスが難しくて、時間がかかってしまいました。でも、その中でも、最初に固めた芯はブレないように気をつけました。
──芯というのは?
山田 やっぱり将也ですね。将也がちゃんと生きていくための産声を上げられることです。
──小学生の時の行為をすごく後悔したまま止まっている将也が、自分を認めて、もう一度生まれ変わる?
山田 そう。将也さえ、ちゃんと生まれることができたら、周りの人のこともどんどん見えてくると思っていたので。それが一番コアなところでした。
みんなで遊園地で遊ぶことになった将也、硝子たち8人。思いがけないくらいに楽しい時間を過ごすことになった将也は、「いいのか? 俺がこんなに楽しんで」と自問自答する。

作品に対する思いは熱くて、愛しかない


──この作品を観ていて、自分の過去の言動を振り返り、忘れていたことを思い出したり、すごく反省したりしたのですが。山田監督は、作っていく中で、そういった感情はありましたか?
山田 すごくたくさんありました。子供の時のミスとか、人としてアウトだろうと思うようなことがたくさんありました(笑)。開けたくない扉を開けてしまった感じでしたね。でも、こういう気持ちになるのは自分だけじゃなかったんだなという安心感があったし、みんな開けたくはないけれど、開けてしまったら、ちゃんと昇華したいんじゃないかなとも思いました。

ライター情報

丸本大輔

1974年生まれ。フリーライター。瀬戸内海で生まれ育ち、現在は東京の西側在住。インタビューを中心に活動。得意ジャンルは、アニメ、マンガ、サッカーなど。

URL:Twitter:@maru_working

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