伊達さん覚醒の4話から1週間、全国の伊達ファンが興奮冷めやらぬなか放送された「プリンセスメゾン」折り返しの5話。要(陽月華)VS伊達(高橋一生)のバトルが勃発!
素直に謝る高橋一生は最高だ「シン・ゴジラ」でも「プリンセスメゾン」でも

沼ちゃんのことでカッとなる伊達さん


沼ちゃんのマンション探しをめぐって、中古物件を推す要さんと、それに反対する伊達さん。「(伊達は新築マンションの営業のため)中古物件はご紹介できないからじゃないですかあ?」という要さんの言葉にカッとなった(そう、あれだけ感情が見えなかった伊達が明らかにカッとなっているのだ)伊達は、次のお休みの日、沼ちゃん&要さんの中古マンション見学に付き添うことに。

いっぽう、沼ちゃんが勤める居酒屋に携帯電話の忘れ物が。そこに忘れた本人、みずえからかかってきた電話に出た結果、携帯を家まで届けにいくはめに。そこは、第2話で初めて沼ちゃんが実地見学をし、そして諦めた部屋だった。
「パパに買ってもらった」部屋で何不自由なく暮らすように見えるみずえも孤独を抱えていることがわかり、沼ちゃんは自分のために買ったリラックスグッズ(ホームプラネタリウム)を彼女の部屋に置いて去る。

伊達VS要、勝敗は?


5話の目玉はなんといっても中古物件をめぐって対立する伊達さんと要さんのバトル。
最近顔を見せないらしい沼ちゃんの様子を要さんに聞くため、ぶらぶらと受付前にやってくる伊達さんのわざとらしさ。聞くことは決まっているのにさもたまたま聞いたようなふり。
そして「要さんだけに任せておくわけにはいきません」と去り際に立ち止まってもう一度無表情の顔を見せつける謎の威嚇……!
見学当日。地味だが質のよさそうな、ちょっとデザイン的にもこだわりのありそうな黒いニットをまとった伊達さんと、カジュアルめな要さんが、物件にたどり着くまでの間にすでに「兄弟の設定で行くならどちらがいちばん上になるか」で言い争い。
部屋に到着した途端、目に付いた欠点をいつものように敬語で訴えてしまう伊達さんを要さんが「伊達さん! 敬語! 家族!」と単語だけで叱ると、伊達さんは「すいません」と謝る。
『シンゴジラ』で高橋一生が演じた安田は、「冗談ポイですよ」と否定していた市川実日子演じる尾頭さんの仮説が正しかったことを知って「ごめんなさい」と謝ったが、「プリンセスメゾン」の高橋一生も素直に謝るところは変わらない。そして謝る姿が最高にキュートなのも、共通点と言えるかもしれない。

伊達の感情の発露とドラマのコミカル度が正比例


「…ないです、ないからね!」とついつい敬語を交えてしまい言い直すという拙い演技を繰り広げる沼ちゃんと伊達さんの間で、「あらお兄ちゃん」とさらっと要さんが、先ほど言い争っていた兄妹間の年齢差を決めるシュートを放つ。
このテクニックには沼ちゃんも「伊達さんを結局いちばん上に……ッ!」と思わずもらす。
なんとか乗りきったと思っている伊達さん、要さんに沼ちゃんが「バレてました」と伝えた瞬間、また伊達さんの「すいません」が炸裂。
無表情のまま、声のトーンや間の豊かさでこれほど感情って伝わるものなのか。逆に言えば、3話までの伊達さんが抑えた演技をしてきた結果、これだけ彼の変化が際立っているとも言える。作品全体をどれだけ俯瞰して演じたのかはわからないが、このドラマが高橋一生の演技力をまざまざと感じられる作品であることは間違いない。
伊達さんの感情があらわになればなるほど、ドラマ全体がコミカルになっていく。
このシーンはとくに、終始ビクついている不動産屋さん含め、延々コントのようなやりとりが続く。展開的には一見、箸休め的なものにも思えるけれど、じつは伊達さんがわざわざ休みの日に、演技までして沼ちゃんの家探しにつきそうことで伊達さんの思いも伝わるし、それによってこの三人の親密度が高まる、ラスト3回に向けていい橋渡しになるたいせつな場面だ。
不動産屋にじつは素性がバレていたと知った伊達さん、要さんのばつの悪そうな表情を見た沼ちゃんは、自分のほっぺをさする。表情がほころんだときに思わずそれを隠そうとする沼ちゃんのクセだ。ここにきて二人が沼ちゃんにとって、大切な人になったことが伝わってくる。

今回は全体的に原作にはないエピソードで構成された回だった。
その話が違和感なくすっと成立するのは、脚本と演出がこれまでの4回でていねいに物語を紡いできた結果だろう。
ちなみに、今週は冒頭で青葉市子の「i am POD(0%)」が流れたものの、初めて誰も歌わなかった。そういう意味でも全体でこの回は前半と後半をつなぐちょっと特別な回だったのかもしれない。
沼ちゃんの家族の話が展開しそうな予感の6話は今夜!

(釣木文恵)

参考→人気爆発高橋一生主演ドラマ原作「プリンセスメゾン」電子書籍配信中