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又吉直樹原作ドラマ「火花」5話。 言いたいだけの「鬼まんま」

2017年4月2日 10時00分 ライター情報:沢野奈津夫
又吉直樹作、第153回芥川賞受賞作品「火花」
イラスト/小西りえこ

神谷(波岡一喜)は、師匠としてなのか徳永(林遣都)に毎回独自のお笑い論を語っている。今回もいくつかあったが、気になったのは「自分はこうあるべきやっていう基準があるやつも、結局は自分のモノマネ」というもの。

これは「自分らしさ」というものに捉われ過ぎると、結局自分を見失ってしまうということだろう。しかし、この言葉、神谷からのSOSにも聞こえる。

てきとうにボケるからツッコンでくれ



ライブが始まる直前、神谷は徳永の前で相方の大林(とろサーモン・村田秀亮)にネタを変えると言いだす。「てきとうにボケるからツッコンでくれ」。まるでアドリブで漫才をするかのような口ブリだ。しかし、実際に変えたのかどうかはわからないが、披露したのは前回ライブで見せていたネタだった。アドリブがあったかはさておき、少なくともてきとうにボケたものではなさそうだった。これを後にメールで「舐められたくなくてネタ変えた」と、徳永に明かしている。

神谷は神谷の自分らしさを一番評価してくれる徳永の前で、一番自分らしい破天荒振りを無理に見せつけようとしてしまったのではないだろうか。徳永の期待に応えようと、“自分はこうあるべきだ”という基準にしたがって動いてしまったのだ。

あほんだらの客投票の結果は4位、客にも楽屋の芸人にもウケたものの優勝を逃してしまう。6位だった徳永には勝ったが、神谷はバツが悪かったのか、珍しく飲みに誘うことはなかった。

別日、神谷は銀髪にした徳永に前述したお笑い論を説いた。それに対して徳永はベージュのコーデュロイパンツは、“縦縞でスリムに見せるはずのコーデュロイパンツなのに、膨張色のベージュは成立していない”という説を唱えだす。これは徳永なりに個性ついて考える上で大切な説だった。さらに話は小学生時代に担任の先生が履いていたコーデュロイパンツにまで遡る。みんなはダサいダサいと囃し立てるが、徳永はそうは思わなかった。そして高校時代、世間ではコーデュロイパンツブームが到来。昔、コーデュロイパンツを扱き下ろしていた連中がみんなしてベージュのコーデュロイパンツを履いていたのだ。これがどうしても徳永は腑に落ちない。

しかし、あまりにベージュのコーデュロイパンツ、ベージュのコーデュロイパンツしつこい徳永に、神谷は「ベージュのコーデュロイパンツって言うのが気持ちよくなったやろ!」と、笑いのニュアンスを残しつつも怒り気味で話を遮ってしまう。

ライター情報

沢野奈津夫

サッカー、漫画、食べ物、子持ち、ブサヘア、元芸人。

URL:Twitter:@natsuo_sawano

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