10月よりスタートした新ドラマ『フリンジマン~愛人の作り方教えます~』(テレビ東京)。同局の松本拓プロデューサーは今作を「愛人を作るためのHow toドラマ」と謳っているが、15日深夜放送の第2話でいきなり驚くべきHow toが飛び出した。
何かあった時のために、我々はぜひ心に留めておきたい。
衝撃「フリンジマン」が説く「愛人を作るためのHow to」は男性原作者による想像の産物だった件
原作コミック1巻

映画『スピード』、『サブウェイ123激突』を参考に生まれた“愛人づくりのHou to”


第1話で、会社の後輩であり“愛人の原石”の山口詠美(筧美和子)とのタクシー同乗に成功した田斉治(大東駿介)。2人は自宅が同じ方向にあるのだ。
しかも、車内で会話を弾ませることに成功した田斉。通信機を通じその状況を把握する“愛人教授”井伏真澄(板尾創路)は、「家に着いたら、彼女の部屋に上がりましょう」と田斉へアドバイス! 井伏調べによると、この状況なら63%の確率で家に上がれるというのだ。

ただ、一つ問題がある。タクシー内の位置関係を確認すると、奥の席に座っているのが田斉で、開くドア側に座っているのが山口。
田斉がタクシーから降りる理由は全くないし、不自然だ。
この時、井伏が与えた指示は脱帽もの。GPSにより把握するタクシーの位置情報を参考に、井伏はタクシーの進路変更を田斉へ促す。結果、2人の乗るタクシーは一方通行道路で山口の自宅付近に到着。彼女を降ろしたタクシーは、そのまま江古田の田斉宅へ向かうことになると思いきや……。タクシーの運転手が口を開いた。

「一回降りたほうがいいよ。ここ一通だから、江古田行きたいなら向こうの道でタクシー捕まえたほうが早いよ」

あえて一通を選び、共に降りざるを得ない状況を作り上げた井伏。物凄いトリックだ! ドラマの原作である漫画『フリンジマン』作者・青木U平は、このアイデアを生み出した過程をテレ東のインタビューで答えている。
「僕は映画が大好きで『スピード』とか『サブウェイ123激突』とかを参考にしました。かなりスピードが出ていてこのまま行ったら突っ込んじゃうぞっていうようなシーンで人間の頭脳で奇跡を起こすっていうシーンが特に好きなんです。なので、タクシーのシーンで置き換えた時に奇跡を起こすスリルあるシーンにできないかなって考えたんです」

“愛人教授”井伏の指示が神がかり過ぎている


田斉は小心者だ。せっかく“愛人の原石”山口の自宅付近に降り立ったというのに、そこで何もできず、ただただ彼女と別れの挨拶を交わすのみ。

「これで十分だ。俺にしたら立派な一歩だ」(田斉)
帰りかける田斉を、山口が呼び止めた。
「ちょっと、ウチ寄っていきません……?」(山口)

これには、伏線がある。タクシー車内で、井伏から山口の“好きな食べ物”を尋ねるよう促された田斉は、彼女から「カレーが好き」という事実を引き出した。逆に山口から“好きな食べ物”を聞かれた田斉は「俺はラーメ……」と言いかけてしまう。すかさずそれを制し、「カレー」と答えるよう田斉に指示する井伏。
実はこのくだりで、田斉が山口宅へ上がる状況は整っていたのだ。
「彼女は自分でカレーを作ると言ったが、ひとり暮らしの女性はたいてい作りすぎてしまう。その場合、冷凍庫に保存している可能性が高い。つまり、田斉さんがカレー好きとわかったら必ず誘うはず。そう推測したのです」(井伏)
井伏教授、恐ろしい人だ……。

なのに、田斉がダメすぎる。
山口の自宅へ足を踏み入れようとしたその時、彼女の帰宅を待ち構えるいかつい男が出現!「そいつ誰だよ!?」と凄まれた田斉は、なりふり構わず逃走してしまったのだ。
しかし、まだ大丈夫。この男は、実は山口の元カレ。逆に彼女のほうから謝罪があり、その上、「しばらくの間、彼氏のフリとかお願いできませんか?」と、素晴らしすぎる依頼を受けることとなった。

壇蜜の助言は、男性原作者による想像の産物だった


ただ、問題が一つだけある。田斉が場馴れしてなさ過ぎるのだ。そこで登場したのは、宮部ゆき(壇蜜)。
井伏の愛人である彼女と会話し、愛人がどんなものか知ってもらう必要があるだろう。
これは、貴重な機会! 井伏に招集された田斉、満島由紀夫(淵上泰史)、坂田安吾(森田甘路)の3人は、宮部へ知りたいことをドンドン聞いていった。

満島 女の人って、胸の谷間を見られてることを気付いてるもんなんですか?
宮部 胸の谷間を見られているのは、100パー気付いています。優れたガンマンは相手のホルスターだけ見るのではなく、瞳を見ると言います。わずか0.1ミリのズレも、相手には察知されてしまうものなのです。

このシーンの真相について、作者の青木U平は明かしている。
「僕は女性の友だちがあまりいないので想像でしかないです(笑)。なんか女の人が言いそうだなーってことを描いてみました。女の人にこんなこと、取材でも聞けないです。たまにTwitterとかで女の人がわかるわかるとか言ってくれると奇跡だなって思っています(笑)。Twitterで女の人が胸を見られる時、100%気付いているっていう人がいて凄いなーって思いました」
想像!? せっかく実生活で役立てようと思っていたのに、男性の想像のみで描かれた助言だったなんて……。

ちなみに、板尾と壇蜜の共演には既視感がある。2012年公開の映画『私の奴隷になりなさい』で、板尾が壇蜜をSM調教する役を演じていたことは記憶に新しい。間違いなくその伏線を効かしての、今回のキャスティングだろう。

仲間の愛人作りのために一丸となる、もはや青春ドラマ


井伏を含めた「愛人同盟」には掟が課せられており、その一つに「4人の愛人作りをお互い全力でサポートすること」という項がある。

山口の元カレが代官山のショップで働いており、そこへ「彼氏のフリをして一緒に行ってほしい」と頼まれた田斉。要するに、“愛人の原石”と疑似デートをすることになったわけだ。
しかし、悪材料が一つだけある。同じ日に、田斉の嫁が友人と中目黒でランチするというのだ。万が一、嫁と鉢合わせしてしまったらどうしよう? 不安に思う田斉を、井伏は評価する。
「戦地では、臆病者ほど生き残る。愛人作りも、また然り。むしろ虚勢を張って、勇猛を気取るほうが危険です」(井伏)

ここからは、チーム戦だ。田斉の嫁のスマホに発信機を付け、鉢合わせを免れるよう全力を尽くしにいこう。満島と坂田は田斉の嫁が無事にランチしているか、店付近での監視を担当。井伏は諜報室から田斉と満島&坂田へ指示。もちろん、田斉は山口との疑似デートを楽しむ。

これは、男の友情だ。「坂田安吾」役を演じた俳優の森田甘路は、10月10日更新のブログにこう記している。
「やっていることは不謹慎ですが、本人達はいたって本気です。不倫というゴールに向かってひたすら突っ走る青春ドラマだと思ってやっとります」

「愛人を作るためのHow toドラマ」ということを忘れるくらい、ドラマの展開がキラキラして見えてきた。私もどうかしてきたな……。
(寺西ジャジューカ)