どんな育児をしたら「イクメン」なのか イクメンコンサルタントに聞いた

イクメンが奨励されるなか、子どもをお風呂に入れたり、子どもと休日に遊んだりするだけでは「イクメン」は言えないという噂がある。どこまでやれば、何をすればイクメンなのか、イクメン推進の専門家を育成する一般社団法人イクメンコンサルタント協会代表理事の秋山剛さんに聞いた。


子どもをお風呂に入れるだけではイクメンじゃない


よく父親が行う子育てといえば、「子どもと休日に外で遊ぶ」「子どもを毎晩お風呂に入れる」などがある。いまの時代、これらを実施してもイクメンとは言えないというのは本当なのか。秋山さんはこう答える。

どんな育児をしたら「イクメン」なのか イクメンコンサルタントに聞いた
一般社団法人イクメンコンサルタント協会代表理事 秋山剛さん


「それだけではイクメンと認定されないのは事実です。現在、日本で共働き夫婦で家事・育児分担率は、女性が85%に対して男性は15%が平均です。先進国の中でワーストです。ちなみに先進国では、30%以上男性が担っている国が多いです。
日本は『男は仕事、女は家庭』という性別役割分業の風土がまだまだ残っています。
共働き夫婦が60%以上で核家族が増えた今、『子どもと休日に外で遊ぶ』『子どもを毎晩お風呂に入れる』のような育児の実行に加えて『育児の体制づくり』も必要です」

イクメンと認められるための行動


そこで、イクメンと認められるための行動を秋山さんに挙げてもらった。

1.育児の実行
子どもの世話、子どもの遊び、家事など

2.育児の体制づくり
「育児の体制作りとは、家庭内での育児・家事役割分担の計画立案・状況把握のほか、育児をめぐる家庭内での情報共有や育児についての話し合いなども含まれます。
ただ、夫が勤めている会社が長時間労働の場合、出産前から夫婦で家庭外の『育児支援サービス提供者』の把握や連携なども考える必要があります。奥さんが職場復帰しやすいよう、育児休業の把握や活用についても会社へ確認してみてください。イクメンとして重要なのは、奥さんが育児や家事を抱え込みすぎてしまう状況をつくらないことです」

3.奥さんとのポジティブなコミュニケーション
「夫婦間で最も重要になってくるのが、ポジティブなコミュニケーションです。あいさつや、感謝、ほめる、ねぎらうなどの気持ちを言葉で伝える必要があります。
身近な奥さんだから『言わなくてもわかってくれている』と思っていても、まったく伝わっていないものなので要注意! 言葉で伝えることを心がけましょう」

イクメン未満の夫へのメッセージ

秋山さんに、まだ育児が「子どもをお風呂に入れる」などだけに留まる父親に対して、アドバイスをもらった。

●子どもと関わることで子どもも自分も成長できる
「子育てはあっという間です。『パパ、パパ』とくっついてきてくれる時期は、とても大切です。小学校に入ると、友達と遊ぶことや自分の好きなことが一番になっていきます。『パパ、パパ』と来てくれる時期を、小学校に入る7歳までとしたら、毎週日曜日に子どもとかかわったとしても、あなたの人生の時間のうちのたった1%。子どもと多くかかわっていくことで、子どもの自己重要感も高まりますし、子育てを通じて成長もできます」

●育児は仕事の役に立つ
「育児の経験が、仕事のリーダーシップやマネジメント、業務能力向上、タフネス向上にもつながるという研究データもでています」

●夫婦としても重要な時期
「子どもが産まれてからの一定期間は、支え合える夫婦になっていく重要な時期でもあります。
シングルマザーになった方の半数以上が、産前産後の子どもが5歳までの時期の夫婦関係が原因で離婚しています。一人で抱え込んでいる奥さんは多いです。夫が子育てに関わる環境を奥さんと話し合うことで、家族にとっても幸せな未来を創っていくきっかけになると思います」

取材協力
秋山 剛さん
一般社団法人イクメンコンサルタント協会代表理事。
現在40歳。22歳の息子と20歳の娘の父親。
イクメンコンサルタント協会ホームページ http://jd-stop.com/