労働関係法の改正をめぐる議論の諸問題(下) - インタビュー&スペシャル

2012年2月20日 00時00分
労働契約法の改正 有期契約の規制強化

 労働政策審議会労働条件分科会では有期雇用をめぐる労使の議論が先鋭化したが、例えば昨年2月23日の分科会では、労働側委員が以下のような発言をしている。

 「(略)仕事が目の前にあって、企業が活動するに当たって労働力が必要だということであれば、どんな雇用形態であっても、人を雇わないと事業が遂行できないわけです。有期の規制があるから雇用が減少するというロジックが客観的に立証されたものかどうかというのは慎重に見極める必要があると思っております」

 「なぜ期間の定めのない雇用なのだというご指摘もあったのですけれども、例えば、企業の経営を考えていただきたいのです。企業の経営というのは1年ごとに経営しますか。企業の経営というのは、1年で区切って、1年で清算するわけではありません。反復更新をするわけではありません。企業というのは永続的な発展を願って事業活動をやるわけです。その中で労働力の構成がなぜ1年単位なのか、あるいはなぜ半年単位なんだというところとの整合性が全然取れないのではないか。永続的な発展を願うのであれば、そこに働く労働者も当然、期間の定めのない雇用が中心になるべきではないかと考えております」

 企業が労働力を必要とする限り、期間の定めのある有期契約を制限したとしても、期間の定めのない無期契約として、企業は人を採用する。この委員の発言の趣旨はここにある、といっても差し支えはない。

 確かに、この発言には、有期契約から無期契約への転換といったフレーズはみられないものの、雇用契約には有期と無期の2種類しかない以上、有期契約を制限したとしても、雇用が減少しないためには、有期から無期への転換が当然の前提となる。したがって、そうした転換の可否が、ここでは問題となる。

 しかし、わが国の場合、期間の定めのない雇用契約は、終身雇用や年功的処遇の慣行と堅く結びついたものとして理解されており、有期契約を無期契約に転換するといっても、そう簡単ではない。終身雇用や年功的処遇の対象とすることのできる従業員には自ずから限界があり、だからこそ無期契約ではなく、有期契約を活用する。そうした現実が一方にあることも失念すべきではない。

 仮にこのような状況下で、有期雇用の規制強化に踏み切った場合、契約期間満了前に大量の雇い止めが発生する懸念がある。また、規制回避を目的とした企業の海外移転が進み、海外への移転が困難な企業は経営そのものが成り立たなくなる。

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

  • Yahoo!ブックマークに登録
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • シェアする
  • Check

関連するエキサイトニュースの記事

携帯電話でニュースをチェック!
携帯ポータルサイト「エキサイトモバイル」