年間150億!「50年間発病ゼロ」狂犬病予防行政の実態は獣医師の利権確保?(後編)

2010年4月25日 18時00分

前編はこちら

 これら死亡原因が狂犬病ワクチンであると科学的に断定するには、「死亡例のサンプルを収集し、ウィルス学的、免疫学的、病態学的、病理組織学的根拠を出す必要がある」(獣医学研究者)というものの、現状ではそこまでの実験を農水省は行っていない。ただ、「いずれにしても副作用が強いことは事実だし、何よりこうした情報が飼い主たちへ十分に周知されていない」(同)と指摘する声もある。

 副作用で死亡する可能性がある危険な薬が横行している現状について、「ワクチン代で稼ぐ獣医師たちの利権が背後にある」というのは、前出の「公益財団法人どうぶつ基金」理事長の佐上氏だ。

「予防注射の代金は2,500円~3,000円ですが、ワクチンの仕入れ価格は約300円。ほとんど技術料です。注射を受ける犬の数が全国で年間約500万頭なので、原価との差額が2,500~3,000円とすれば単純計算で120~150億円の利権が存在することになる。集団接種の場合、各地の獣医師会が地元保健所から委託されて仕切り、獣医師会に一旦プールしたお金から日当として各獣医師へ配当されるのが一般的。予防注射が4~6月に行われるため、獣医師業界では『春のボーナス』と呼ばれています」

 日本全国の獣医師に絡んだ"利権"150億円という数字が莫大かどうかは判断が分かれるところだが、あくまで春の臨時収入という前提と、仕入れ価格が300円前後であることを勘案すれば、極めて高い利益率であることは間違いない。さらに言えば、300円という原価でありながら3,000円前後に設定している注射代金の根拠もあいまいだ。関東の複数の保健所に電話で問い合わせたところ、「ずっと前からそうしている」を繰り返すだけで、どこも積算根拠は「特にない」との回答だった。

 また、甲信越地方のベテラン保健所職員は次のように言う。

「保健所が金額のことをとやかく言って獣医師会がヘソを曲げたら困る。限られた期間で、法で定められた注射を済ますには獣医師会に頼むしかないのだから。地元に獣医師会は一つしかないので、行政はどうしても立場が弱くなる。うちの地域はまだいいほうだけど、よその県では獣医師会がえらい威張ってるとこがあるらしいからね」

 佐上氏は言う。

「6割が予防接種を受けていない状態で、狂犬病発生が50年間ゼロというのが何よりのケーススタディ。今後も発生する可能性は限りなくゼロに近い。

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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